通る補助金ラボ
← 実務コラム一覧
対話で学ぶ

飲食店が使える補助金はどう探せばいい?3つの系統で見つける方法

飲食店の補助金探しは「販路開拓」「設備」「IT」の3系統で探すのが基本。市区町村の店舗改装・商店街系は穴場です。内装工事のフライング発注にも要注意という話。

「飲食店 補助金」で検索すると制度名がたくさん出てきて、結局どれが自分の店に合うのか分からなくなる、という相談をよく受けます。今回は創業準備中の田中さんとの対話形式で、制度名を1つずつ覚えるのではなく「探し方の型」を身につける方法をお話しします。

飲食店の補助金って結局どこで探せばいいんですか

田中さん(創業準備中)池田さん、来年カフェを開くんですけど、「飲食店 補助金」で検索してもいろんな制度が出てきて、結局何を見ればいいのか分からなくて……。
池田診断士(中小企業診断士)そのお気持ち、よく分かります。結論から言うと、制度名を1件ずつ検索して回るのは非効率です。飲食店が使う補助金は、だいたい3つの系統に整理できます。この型を先に頭に入れておくと、探すスピードが全然違いますよ。
田中さん(創業準備中)3つの系統、教えてください。
池田診断士(中小企業診断士)1つ目が販路開拓系。チラシ、看板、HP、メニュー表、小さめの厨房機器など、お客さんを増やすための投資です。2つ目が設備系。省エネ性能の高い厨房機器や、人手不足を補う省力化機器(食洗機、セルフオーダー端末など)が対象になります。3つ目がIT系。予約システムやPOSレジ、キャッシュレス決済端末などのデジタルツールです。この3つの入口から探すと、抜け漏れが減ります。

販路開拓系の補助金は何を見ればいいですか

田中さん(創業準備中)まず1つ目の「販路開拓系」って、具体的にはどんなイメージですか。
池田診断士(中小企業診断士)代表格は小規模事業者持続化補助金です。チラシ作成、看板設置、メニュー表のデザイン、HP制作、あとは接客用の小型什器なども対象になることがあります。「お店を知ってもらう・来てもらう」ための投資全般、という理解で大丈夫です。
田中さん(創業準備中)開業したてでお客さんゼロからのスタートなので、これは刺さりそうです。
池田診断士(中小企業診断士)はい、創業期との相性は良いです。ただし、対象経費の細かい線引きは公募回によって変わります。「これは対象か」を自己判断せず、公募要領の原本を必ず確認してください。

設備系の補助金は厨房機器も対象になりますか

田中さん(創業準備中)2つ目の「設備系」、厨房機器も入るんですか?結構高いので気になります。
池田診断士(中小企業診断士)入ることがあります。ただ「厨房機器だから何でも対象」ではなく、省エネ性能や省力化効果が要件になっているケースが多いんです。たとえば古い冷蔵庫を高効率タイプに入れ替える、洗い場の負担を減らす食洗機を導入する、といった投資が狙い目になります。
田中さん(創業準備中)単に「新しい厨房機器が欲しい」だけだと弱いってことですね。
池田診断士(中小企業診断士)そうなんです。「なぜこの設備が必要か」を、省エネ・省力化・生産性向上といった観点で説明できるかどうかが審査で見られます。単なる買い替えではなく、投資の目的をセットで語れるようにしておいてください。

IT系の補助金は予約システムやPOSレジも対象ですか

田中さん(創業準備中)3つ目のIT系ですが、予約システムとかPOSレジって結構お金がかかるので、これも助かりそうです。
池田診断士(中小企業診断士)IT導入補助金が代表的な制度です。ただここは少し特殊で、登録されたITツール・IT導入支援事業者を通じて申請する仕組みになっています。自分で好きなベンダーを選んで後から申請、という流れではないので、導入したいツールが決まったら、そのベンダーが補助金対応しているか先に確認するのが順番として早いです。
田中さん(創業準備中)なるほど、ツール選びと補助金申請が同時進行なんですね。
池田診断士(中小企業診断士)その通りです。予約管理、キャッシュレス決済、会計ソフトの連携なども対象になり得ますが、対象ツールの範囲や補助率は公募回ごとに変わりますので、ここも必ず最新情報を確認してください。

3系統以外で見落としがちな補助金はありますか

田中さん(創業準備中)3つの系統は分かりました。他に見落としやすいものってありますか?
池田診断士(中小企業診断士)実はここが一番お伝えしたいところで、市区町村の店舗改装・商店街系の制度です。国の制度に比べて宣伝されにくく、地元の人でも知らないまま終わっているケースをよく見ます。
田中さん(創業準備中)えっ、市区町村にもあるんですか。全然意識していませんでした。
池田診断士(中小企業診断士)空き店舗を活用した開業への家賃補助、商店街の店舗改装費補助、地域の消費喚起策と連動した設備投資支援など、自治体独自の制度は数多くあります。国の制度より競争率が低いことが多く、狙い目です。「市区町村名+店舗改装 補助金」「市区町村名+商店街 補助金」で検索するか、商工会・商工会議所に直接聞くのが一番早いです。

4系統を表にすると

池田診断士(中小企業診断士)ここまでの話を整理すると、こういう地図になります。
系統 具体例 探し方のコツ
販路開拓系 チラシ・看板・HP・メニュー表 小規模事業者持続化補助金が代表格
設備系 高効率厨房機器・食洗機・省力化機器 「省エネ・省力化の目的」を語れるかがカギ
IT系 予約システム・POSレジ・キャッシュレス端末 登録ベンダー経由の申請が多い、ツール選定と同時進行
自治体系(穴場) 店舗改装費補助・商店街の家賃補助 「市区町村名+補助金」で検索、商工会にも確認
田中さん(創業準備中)4系統、頭に入りました。この順番で探せば抜け漏れが減りそうです。
池田診断士(中小企業診断士)はい。あと、複数の制度が候補に挙がったときの優先順位のつけ方は、別記事にまとめてありますので、そちらも参考にしてください。

内装工事の見積もりを先に進めても大丈夫ですか

田中さん(創業準備中)実は開業日から逆算して、内装工事の見積もりをもう取り始めていて。早めに契約しちゃってもいいですよね?
池田診断士(中小企業診断士)見積もりを取るところまでは問題ありません。ただし、契約や着工、支払いは交付決定が出るまで絶対にしないでください。「採択された」と「交付決定が出た」は別の手続きで、ここを混同して先に発注してしまう相談が本当に多いんです。
田中さん(創業準備中)えっ、採択されただけではダメなんですか?
池田診断士(中小企業診断士)ダメなんです。多くの制度で、交付決定より前に契約・発注したものは補助対象外になります。居抜き物件で急いで内装工事を進めたい気持ちは分かるのですが、ここで焦ると補助金そのものが使えなくなります。詳しくはフライング着工の記事にまとめていますので、契約前に必ず目を通してください。

補助金は先にお金がもらえるものだと思っていました

田中さん(創業準備中)そういえば、補助金って審査に通ったらすぐ振り込まれるものだと思ってたんですけど、違うんですか?
池田診断士(中小企業診断士)違います。ほとんどの補助金は精算払い(後払い)です。自分で先に全額を立て替えて支払い、実績報告をして、審査を経てから補助金分が振り込まれます。厨房機器や内装工事のように金額が大きい投資ほど、立て替える資金の準備が先に必要になります。資金繰りの考え方はこちらの記事も参考にしてください。
田中さん(創業準備中)開業資金とは別に、立て替え用の資金も見ておかないといけないんですね……。
池田診断士(中小企業診断士)その通りです。補助金は「開業資金の代わり」ではなく「あとから一部戻ってくる上乗せ」と位置づけて、資金計画は自己資金と創業融資でまず土台を作ってください。

結局、今日から何をすればいいですか

田中さん(創業準備中)最後に、今日から私が動くべき順番を教えてください。
池田診断士(中小企業診断士)開業までの時間を味方につけるなら、この順番です。
  1. 買いたいものを3系統に仕分ける — 販促・設備・ITでリストを分ける(見積もりは取るだけ、発注はまだしない)
  2. 国の制度を3系統それぞれで確認する — 持続化補助金、省エネ・省力化系、IT導入補助金の対象範囲を見る
  3. 自治体の制度を必ず調べる — 「開業予定の市区町村名+補助金」で検索し、商工会・商工会議所にも聞く
  4. 締切と交付決定の時期を並べる — 開業日から逆算し、間に合う制度・間に合わない制度を分ける
  5. 契約・発注は交付決定が出てから — これだけは順番を絶対に変えない
田中さん(創業準備中)「発注は交付決定の後」、今日いちばんの学びです。ありがとうございました!
池田診断士(中小企業診断士)制度は毎回内容が変わりますので、検索締切カレンダーで最新の候補を確認しながら進めてください。個別の状況を伺えばもっと絞り込めますので、迷ったら無料相談もお気軽にどうぞ。

※ 本記事の制度情報は一般的な解説です。補助率・上限額・対象経費・締切は公募回ごとに変わります。申請の際は必ず最新の公募要領(原本)をご確認ください。また、税務・法務の詳細な判断は税理士・行政書士等の専門家にご確認ください。

※ 聞き手(田中さん=創業準備中・佐藤さん=開業1年目・鈴木社長=経営歴20年)は、読者のみなさまの疑問を代弁する架空のキャラクターです。回答はすべて運営者・池田哲郎(中小企業診断士)本人によるものです。

無料|48時間以内|送るのは提案書1通だけ

御社が使える補助金、提案書にまとめます

作るのは中小企業診断士・池田哲郎本人。お送りするのは提案書1通だけで、その後の営業連絡はしません

補助金提案書を受け取る →

この記事を書いた人

池田哲郎(中小企業診断士・池田計画合同会社)。山梨県を拠点に、補助金申請支援・事業計画づくりを本業とする現役の実務家。プロフィール →

読んでも自社への当てはめに迷ったら

無料相談へ