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食品製造業が使える補助金はどう探す?省力化・衛生対応・販路の3系統で整理

食品製造業の補助金探しは「省力化・衛生対応・販路」の3系統に分けると迷いません。汎用のものづくり系に加え、農水省が食品産業向けの省力化投資支援を出している事実と、設備の納期を見誤らない実務判断を解説します。

「食品製造業 補助金」と検索すると、製造業向けの制度と食品業界向けの制度がまじり合って出てきて、結局どれを見ればいいのか分からなくなります。今回は製造業歴20年の鈴木社長との対話形式で、食品工場・食品メーカーが補助金を探すときの型を整理します。なお、飲食「店」(カフェ・レストランなど)の補助金探しは切り口が異なるため、飲食店向けの記事を先にご覧ください。本記事は工場・メーカーとしての食品製造業が対象です。

食品製造業は「製造業向け」と「食品向け」のどちらを見ればいいですか

鈴木社長(経営歴20年)池田さん、うちは惣菜の製造をやってるんだけど、最近ラインの人手が本当に足りなくてね。補助金で何とかならないかと思って調べたら、ものづくり補助金みたいな製造業全般の話と、食品業界専用みたいな話が両方出てきて、どっちを見ればいいのか分からなくなっちゃって。
池田診断士(中小企業診断士)それ、よくある混乱です。結論から言うと、両方が候補になります。食品製造業は「製造業」でもあり「食品産業」でもあるので、入口が2つあると考えてください。
鈴木社長(経営歴20年)2つとも見ないといけないのか。
池田診断士(中小企業診断士)そうなんです。1つは業種を問わない汎用の設備投資系(ものづくり補助金や省力化投資補助金など)。もう1つが、食品産業に絞った制度です。実は農林水産省が、食品製造事業者の省力化技術導入を支援する補助事業を出していて、当サイトでも収録しています。食品産業省力化投資促進緊急対策事業がそれです。
鈴木社長(経営歴20年)農水省が製造業向けの補助金を出してるってこと自体、正直知らなかったな。
池田診断士(中小企業診断士)ここ、見落とされがちなんです。「農水省=農業者向け」というイメージが強いんですが、食品を作る事業者向けの制度も持っています。汎用の製造業系だけを見ていると、この手の制度をまるごと見逃すことになります。

省力化の補助金は食品工場でも申請できますか

鈴木社長(経営歴20年)省力化の補助金って、うちみたいな惣菜工場でも通用するもの?ロボットとか大げさなものしか対象じゃないイメージがあるんだけど。
池田診断士(中小企業診断士)対象になり得ます。ただ「大げさな自動化ライン」だけを想定する必要はありません。人手が足りない工程を機械に置き換える投資全般が土俵に乗ります。当サイトでは分類ページとして省力化・省人化を用意していて、業種を問わず該当する制度を横断で見られます。食品製造業向けの制度もここに含まれます。
鈴木社長(経営歴20年)惣菜の盛り付けとか、パック詰めの工程とかも対象になり得るってこと?
池田診断士(中小企業診断士)制度によります。ここは正直に言いますが、対象になる設備・工程の範囲は公募回ごと・制度ごとに条件が違うので、この場で「対象です」と断定はできません。必ず該当する公募回の公募要領で確認してください。ただ、「人手不足の工程を機械に置き換える投資」という方向性自体は、食品製造業でも十分に土俵に乗る話です。
鈴木社長(経営歴20年)なるほど。まず「うちのどの工程が省力化の対象になり得るか」を洗い出すところからか。
池田診断士(中小企業診断士)その通りです。それともう1つ、投資の前に確認してほしいことがあります。「作れるようになること」だけを目的に設備を入れると、稼働率が上がらず投資が寝てしまうケースを実務でよく見ます。設備投資は「作れるか」ではなく「売れる目処が立っているか」を着手条件にするのが安全です。惣菜の新ラインなら、まず販路や受注の見込みを固めてから、その量をさばける設備規模を選ぶ、という順番です。
鈴木社長(経営歴20年)先に大きい設備を入れてから売り先を探す、はやっちゃいけないパターンってことだな。耳が痛いけど、その通りだ。

HACCP対応にも補助金は使えますか

鈴木社長(経営歴20年)もう1つ聞きたいんだけど、HACCP対応の設備とか、保健所絡みの改修にも補助金って使えるものなの?
池田診断士(中小企業診断士)使えるケースはあります。当サイトでは認証取得という分類を用意していて、HACCPのような衛生管理手法の認証取得に関連する制度もここに含まれます。
鈴木社長(経営歴20年)HACCPって、たしか義務化されたやつだよね。
池田診断士(中小企業診断士)一般的にはそう理解されています。ただ、義務化の範囲や具体的な適用条件、罰則の有無といった法的な扱いは、この記事で断定する話ではありません。保健所や専門家に確認していただくのが確実です。補助金の話に戻すと、衛生管理体制の整備にかかる設備投資が対象になり得る制度がある、というところまでが私からお伝えできる範囲です。対象経費の線引きは、必ず該当する公募要領の原本で確認してください。
鈴木社長(経営歴20年)それと、HACCP対応の改修って、営業許可の更新とか絡んでくることもあるんだよな。許認可待ちで動けないうちに公募が締め切られたら目も当てられない。
池田診断士(中小企業診断士)いい指摘です。実務でよくあるジレンマですね。許認可の結果を待たないと仕様が確定しない設備がある一方、補助金の公募期限は待ってくれません。この場合、許認可が不要な項目・仕様が固まっている項目から先に見積を取り始めて、許認可待ちの項目だけ後から再見積を取る、という順番で進めるのが実務的です。ただし食品衛生法の許可自体が下りない可能性があるなど、事業の成立そのものに関わる場合は話が別です。その場合は見積を急ぐより先に、許認可の見通しをきちんと確認してください。

販路開拓の補助金は食品製造業でも対象になりますか

鈴木社長(経営歴20年)設備の話ばかりだったけど、うちは展示会に出て新しい卸先を開拓したいとも思ってるんだよね。これも補助金の対象になる?
池田診断士(中小企業診断士)なります。販路開拓・販路拡大の分類には、展示会出展や商談会参加、ECサイトの構築といった投資を対象にする制度が含まれます。食品製造業は卸取引先の開拓が売上に直結しやすい業種なので、設備系だけでなく販路系も併せて見ておく価値があります。
鈴木社長(経営歴20年)設備・衛生・販路と、3つとも別々に見ないといけないってことか。
池田診断士(中小企業診断士)はい、この3系統――省力化、衛生対応、販路――を頭に入れて探すと、抜け漏れが減ります。1つの制度に絞り込まず、3つの入口それぞれで候補を洗い出してから、自社の優先順位で並べ替えるイメージです。

設備投資は納期に注意が必要と聞きましたが

鈴木社長(経営歴20年)うちの業界だと、食品加工機械って特注が多くて納期が2〜3ヶ月かかることもザラなんだよね。補助金と嚙み合わせるとき、何に気をつければいい?
池田診断士(中小企業診断士)これは食品製造業に限らずですが、非常に重要な点です。補助金は「交付決定」という手続きが下りる前に発注・契約・支払いをしてしまうと、原則としてその経費は補助対象外になります。納期が長い機械ほど「早く発注しないと間に合わない」という焦りが出やすく、フライング発注の相談が実際に多いんです。詳しくは交付決定前のフライング発注NGの記事にまとめています。
鈴木社長(経営歴20年)納期が長いからこそ、逆に発注を急いじゃいけないってことだな。
池田診断士(中小企業診断士)そうです。だからこそ、見積依頼と仕様の詰めは公募開始前からできるだけ進めておいて、「交付決定が出た瞬間に発注できる状態」を作っておくのが理想です。締切から逆算したスケジュール管理は別記事で扱っていますので、あわせて確認してください。

食品製造業の探し方チェックリスト

鈴木社長(経営歴20年)最後に、今日の話を整理してもらえる?
池田診断士(中小企業診断士)3系統×3ステップでまとめるとこうなります。
系統 何を確認するか 当サイトの入口
省力化 人手不足の工程を機械化できないか。汎用制度+食品産業向け制度の両方を確認 省力化・省人化食品産業省力化投資促進緊急対策事業
衛生対応 HACCP等の認証・衛生設備投資が対象になる制度がないか(法的義務の範囲は保健所・専門家に確認) 認証取得
販路 展示会・商談会・EC構築など卸先開拓の投資 販路開拓・販路拡大

チェックすべき順番は、①設備投資は「売れる目処」が立ってから着手を検討する、②許認可待ちの設備は見積だけ先行させる、③交付決定前は絶対に発注しない、の3つです。この順番を守るだけで、実務でつまずくケースの大半は避けられます。

鈴木社長(経営歴20年)農水省の制度まで教えてもらえるとは思わなかったよ。ありがとう。うちの工場、どの制度が合うかもう少し詰めて相談したいな。
池田診断士(中小企業診断士)ぜひ。工程ごとの投資規模や、今狙っている販路によって優先順位が変わってきますので、詳しい状況を伺えれば絞り込みをお手伝いします。無料相談からお気軽にどうぞ。

※ 本記事の制度情報は一般的な解説です。補助対象経費・補助率・上限額・締切は制度・公募回ごとに異なります。申請の際は必ず最新の公募要領(原本)と所管窓口の案内をご確認ください。

※ 聞き手(田中さん=創業準備中・佐藤さん=開業1年目・鈴木社長=経営歴20年)は、読者のみなさまの疑問を代弁する架空のキャラクターです。回答はすべて運営者・池田哲郎(中小企業診断士)本人によるものです。

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この記事を書いた人

池田哲郎(中小企業診断士・池田計画合同会社)。山梨県を拠点に、補助金申請支援・事業計画づくりを本業とする現役の実務家。プロフィール →

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