通る補助金ラボ
← 実務コラム一覧
対話で学ぶ

宿泊業(ホテル・旅館・ゲストハウス)が使える補助金の探し方——観光庁系・汎用系・自治体系の3系統

宿泊業の補助金は観光キャンペーン系だけではありません。観光庁の事業者向け制度・業種を問わない汎用制度・自治体の誘客系という3系統を、探す順番とあわせて整理します。

「宿泊業向けの補助金って、地域の観光キャンペーンみたいなものしかないんですか?」——ゲストハウスを開業して1年になる佐藤さんから、こんな質問をいただきました。実は宿泊業が使える補助金は、性格の違う3つの系統に分かれています。今回は、その3系統をどう見分け、どの順番で探せばいいかを対話形式で整理します。

宿泊業の補助金は観光キャンペーン系だけ?

佐藤さん(開業1年目)池田さん、うちのゲストハウス、正直まだ人手が全然足りていなくて。設備投資したいんですけど、補助金って調べても地域の観光PR系のものばかり出てきて、自分たちが使えそうなものにたどり着けないんです。
池田診断士(中小企業診断士)それ、探し方の癖の問題かもしれません。宿泊業が候補にできる補助金は、大きく3つの系統に分かれます。①観光庁が宿泊事業者そのものを対象にした制度、②業種を問わない汎用の制度(IT・省力化・販路など)、③都道府県や市町村が独自にやっている誘客・改修系の制度。この3つを順番に見ていくと、抜け漏れがかなり減ります。
佐藤さん(開業1年目)3つもあるんですね……。順番に教えてもらえますか?
池田診断士(中小企業診断士)もちろんです。まず①の観光庁系から見ていきましょう。

観光庁が宿泊事業者向けに出している制度とは

佐藤さん(開業1年目)観光庁って、旅行キャンペーンみたいなイメージだったんですけど、宿泊事業者が直接申請できる補助金もあるんですか?
池田診断士(中小企業診断士)あります。宿泊業界の人手不足を背景に、ここ数年で宿泊事業者向けの省力化投資・経営効率化を支援する制度が国レベルで出てきています。当サイトでも観光庁の事業者公募を収録していて、たとえば「観光地・観光産業における省力化投資補助事業」や「地域一体となった観光産業の効率化支援事業」といった名称の制度があります。
佐藤さん(開業1年目)名前だけ聞くと、うちみたいな小さいゲストハウスでも対象になりそうですか?
池田診断士(中小企業診断士)対象者や補助対象経費は公募回によって条件が変わるので、ここで断定はできません。ただ、どちらも旅館業の許可を持つ事業者や、宿泊事業者が関わる共同事業体などを想定した制度で、実際にこの1年でも公募が動いています。詳しい受付期間や対象範囲は、必ず制度ページの原本情報で確認してください。
佐藤さん(開業1年目)気になります。どこで見られますか?
池田診断士(中小企業診断士)観光地・観光産業における省力化投資補助事業と、地域一体となった観光産業の効率化支援事業のページに、直近の公募回の受付期間と公式ポータルへのリンクをまとめています。ちょうどこの2つは直近の公募回がすでに受付を終えていますが、次に同じ枠組みの公募が出るかどうかは、このページをブックマークしておいて時々確認するのが確実です。「次はいつ出る」と断定して案内する情報は、正直あまり信用しない方がいいです。
佐藤さん(開業1年目)なるほど、締切が終わっていても「この制度自体は存在する」って知っておくのが大事なんですね。
池田診断士(中小企業診断士)その通りです。制度の「顔ぶれ」を知っておけば、次に似た公募が出たときにすぐ気づけます。逆に制度名すら知らないと、公募期間中に見つけられずに終わってしまう。これが観光庁系の1つ目の系統です。

業種を問わない汎用の補助金も候補になる

佐藤さん(開業1年目)観光庁の制度以外だと、どんなものがありますか?
池田診断士(中小企業診断士)②の汎用系です。IT導入補助金や持続化補助金、省力化投資補助金のように、業種を限定せず幅広い事業者が対象になる制度ですね。これらは「宿泊業だから」ではなく「予約管理システムを入れたい」「清掃や配膳を省力化したい」「販路を広げたい」といった目的で申請するものです。
佐藤さん(開業1年目)そういう制度って、業種を絞って探せたりしますか?宿泊業向けの一覧みたいな。
池田診断士(中小企業診断士)当サイトの検索は「宿泊業、飲食サービス業」という業種の絞り込みができるようになっています。宿泊業だけを対象にした専用制度は限られていますが、汎用制度の中から「うちの業種でも使えそうなもの」を絞り込む使い方です。あわせて「観光・インバウンド」「省力化・省人化」といった目的別の分類でも探せます。
佐藤さん(開業1年目)目的から探すのと、業種から探すのと、両方使った方がいいですか?
池田診断士(中小企業診断士)はい。目的側の観光・インバウンド省力化・省人化の分類は「何がしたいか」からの入口、業種の絞り込みは「自分の業種で通りやすそうか」を確認する入口です。両方から探すと、見落としがぐっと減ります。

都道府県・市町村の誘客系制度も見逃せない

佐藤さん(開業1年目)3つ目の自治体系というのは?
池田診断士(中小企業診断士)都道府県や市町村が独自にやっている、誘客・改修系の制度です。老朽化した客室のリノベーション支援や、地域の宿泊事業者を対象にした改装補助、誘客イベントとセットの支援など、自治体ごとに独自の制度を持っていることがあります。
佐藤さん(開業1年目)これって、探すのが一番大変そうですね……。
池田診断士(中小企業診断士)正直、そこが一番の穴場でもあり、一番見つけにくいところでもあります。国の制度のようにポータルサイトで一元管理されているわけではなく、各自治体のサイトの奥にPDFで置かれていることが多いんです。当サイトでは都道府県ごとにページを分けて自治体制度をまとめていて、たとえば山梨県のページでは県内の自治体制度を確認できます。お住まいの都道府県名で探してみてください。
佐藤さん(開業1年目)自分の県のページを見てみます。3系統、頭の中で整理できました。

3系統をどの順番で見ればいい?

佐藤さん(開業1年目)で、実際に探すときはどの順番で見ればいいですか?全部一気に見るのは大変そうで。
池田診断士(中小企業診断士)いい質問です。ここで実務の話をすると、投資したい金額の規模から逆算して優先順位をつけるのが効率的です。設備投資の規模が大きいなら国の制度(観光庁系や汎用の大型制度)から確認し、規模が小さめだったり急ぎで動きたい場合は自治体系から確認する、という順番です。国の制度は補助上限が大きい分、要件が細かく審査にも時間がかかる傾向があります。自治体系は規模が小さめでも、書類が比較的シンプルで動きが速い制度が多い印象です。
佐藤さん(開業1年目)大は小を兼ねる、じゃなくて使い分けるってことですね。
池田診断士(中小企業診断士)そうです。実際の相談現場でも、1つの投資計画を「国の制度で取る部分」と「自治体の制度で取る部分」に、対象経費を分けて設計するケースがあります。同じ経費で二重取りはできませんが、対象を別の設備・別の名目に切り分ければ、国と自治体を組み合わせて使うこと自体は可能です。手間は増えますが、選択肢として知っておいて損はありません。
佐藤さん(開業1年目)なるほど……。あと、これは前から気になっていたんですけど、公募が始まる前に発注しちゃだめなんですよね?
池田診断士(中小企業診断士)そうです、そこは宿泊業の設備投資でも同じで、交付決定より前に発注・契約をしてしまうと補助対象から外れる制度がほとんどです。客室の改装や什器の入れ替えは納期が読みにくいものも多いので、「早く発注したい」気持ちと「まだ交付決定前」のタイミングがぶつかりやすいところです。詳しくはフライング着工の記事にまとめていますので、動く前に一度確認してください。
佐藤さん(開業1年目)気をつけます。最後に、探す手順をチェックリストみたいにまとめてもらえますか?
池田診断士(中小企業診断士)まとめるとこの順番です。
順番 確認すること 見るページ
1 観光庁系に該当する制度が現在動いているか 各制度ページ(例:観光地・観光産業における省力化投資補助事業
2 汎用制度を目的・業種から絞り込む 観光・インバウンド省力化・省人化の分類、業種の絞り込み
3 都道府県・市町村の誘客・改修系を確認する 都道府県ページ(例:山梨県
4 投資規模から国系・自治体系の優先順位を決める 上記1〜3の候補を並べて比較
5 交付決定前に発注・契約をしない フライング着工の記事
佐藤さん(開業1年目)ありがとうございます。これなら自分でも探せそうです。
池田診断士(中小企業診断士)制度の性格が3つに分かれていることさえ分かれば、あとは順番に潰していくだけです。どれが自社に合うか絞り込みたいときは、ご相談いただければ状況を伺って一緒に整理します。

※ 本記事で紹介した制度は2026年7月時点で当サイトが収録している情報にもとづく一般的な解説です。対象者・対象経費・受付期間・補助上限は公募回ごとに変わり、掲載中の公募が既に終了している場合もあります。申請の可否は必ず各制度ページのリンク先および最新の公募要領(原本)でご確認ください。

※ 聞き手(田中さん=創業準備中・佐藤さん=開業1年目・鈴木社長=経営歴20年)は、読者のみなさまの疑問を代弁する架空のキャラクターです。回答はすべて運営者・池田哲郎(中小企業診断士)本人によるものです。

無料|48時間以内|送るのは提案書1通だけ

御社が使える補助金、提案書にまとめます

作るのは中小企業診断士・池田哲郎本人。お送りするのは提案書1通だけで、その後の営業連絡はしません

補助金提案書を受け取る →

この記事を書いた人

池田哲郎(中小企業診断士・池田計画合同会社)。山梨県を拠点に、補助金申請支援・事業計画づくりを本業とする現役の実務家。プロフィール →

読んでも自社への当てはめに迷ったら

無料相談へ