「採択」と「交付決定」は違う
補助金には2つの関門があります。採択(計画が選ばれること)と交付決定(経費の内容が確定し、正式にゴーサインが出ること)です。
多くの補助金では、交付決定の前に発注・契約・支払いをした経費は補助対象外になります。採択の連絡が来た時点で発注してしまい、あとから対象外と判明するケースは、実務で本当によく見ます。
なぜここまで厳格なのか
補助金は「この事業は補助金があるから実施できる」という誘導効果を前提にした制度です。補助金の決定前に自費で始められた事業は、「補助金がなくてもやった事業」とみなされる——これが制度側の理屈です。気持ちはどうあれ、この理屈は覆りません。
領収書の日付、契約書の日付、メールの発注履歴まで確認されます。「実質的には交付決定後です」という説明は通用しないと考えてください。
納期が長い設備はどうするか
とはいえ、納期が半年を超えるような設備では「交付決定を待っていたら事業スケジュールが崩れる」という切実な事情があります。現実的な選択肢は次のとおりです。
- 見積・仕様確定までは進めておく(契約・発注はしない)
- 事前着手承認制度の有無を確認する(公募回によっては認められることがあります)
- 交付決定の標準的な所要期間から逆算して、申請時期そのものを前倒しする
- どうしても待てない投資は、補助金に載せないと割り切る(無理に載せると全体が崩れます)
支援者としての立場
私は顧客に対して、フライング着工は明確に「NGです」と伝えます。グレーな運用を勧める支援者がいたら、その支援者ごと疑ってください。補助金は数年にわたって実績報告や検査が続く制度です。入口のごまかしは、出口で必ず高くつきます。
※ 本記事は一般的な情報提供です。事前着手の扱いは制度・公募回により異なります。必ず最新の公募要領(原本)をご確認ください。