通る補助金ラボ
← 実務コラム一覧
対話で学ぶ

補助金申請の代行は違法?行政書士・診断士・税理士の役割分担を解説

補助金申請の「代行」自体は違法ではありませんが、丸投げにはリスクがあります。申請主体は誰か、専門家の役割分担、適正な頼み方を対話形式で整理します。

「補助金の申請、代行してもらうのって違法じゃないんですか?」——ネットで見かけた話に不安になった、という質問をよくいただきます。今回は創業準備中の田中さんとの対話形式で、申請代行の適法性と、専門家との正しい付き合い方を整理します。

補助金申請の代行は違法なんですか

田中さん(創業準備中)池田さん、ちょっと不安になることがあって。「補助金の代行は違法」ってSNSで見たんですけど、本当ですか?私、正直自分で書く自信がなくて誰かに頼みたいんですけど……。
池田診断士(中小企業診断士)結論から言うと、代行そのものが一律で違法というわけではありません。ただし「誰が」「何を」代行するかによって、法律上できる・できないがはっきり分かれます。ここを知らずに頼むと、後で困ったことになるので順番に説明しますね。
田中さん(創業準備中)「誰が」で変わるんですか?知らなかった……。
池田診断士(中小企業診断士)はい。補助金の申請書には「官公署に提出する書類」という性質があります。これを業として作成できるのは、原則として行政書士です。行政書士資格を持たない人が報酬をもらって申請書類を作成すると、行政書士法に触れる可能性があります。ここは誇張でも脅しでもなく、実務上気をつけるべき一線です。

誰に頼めばいいんですか。行政書士・診断士・税理士の違いは

田中さん(創業準備中)じゃあ、補助金のことは行政書士さんに頼めば全部OKってことですか?
池田診断士(中小企業診断士)「書類の作成代行」という意味ではそうです。ただ、補助金の申請でいちばん重要なのは事業計画の中身なんです。ここは行政書士の独占業務ではなく、経営全般を診る中小企業診断士が得意とする領域です。税理士は財務諸表や数値計画、税務面の確認で力を発揮します。役割が違うので、簡単に整理しますね。
専門家 得意な領域 できないこと・注意点
行政書士 官公署提出書類の作成代行(独占業務) 経営戦略や事業計画の「中身」の設計は本業ではない事務所もある
中小企業診断士 事業計画・経営戦略の設計、審査目線での磨き込み 書類の代理提出は行政書士法の制約を受ける場合がある
税理士 財務諸表・資金計画・税務上の扱いの確認 事業計画のストーリーや加点戦略は専門外のことが多い
田中さん(創業準備中)3人がかりで頼むってことですか?大変そう……。
池田診断士(中小企業診断士)いえ、必ずしも3人必要というわけではありません。制度や案件の規模によって、診断士1人で計画から書類調整まで対応することも多いです。大事なのは、「この人は何が専門で、何は専門外か」を頼む前に確認することです。ここを曖昧にしたまま契約すると、後で「思っていた支援と違った」となりがちです。

申請の主体は誰なんですか

田中さん(創業準備中)でも結局、申請するのは誰なんですか?代行してもらったら、私は何もしなくていいってこと?
池田診断士(中小企業診断士)ここが一番大事なところです。申請の主体は、あくまで事業者本人です。代行してもらっても、田中さんが「申請者」であることは変わりません。交付決定を受けるのも、事業を実施するのも、実績報告をするのも田中さん。専門家は、その手続きを支援する立場です。
田中さん(創業準備中)えっ、じゃあ全部丸投げしても、責任は私にあるってことですか。
池田診断士(中小企業診断士)その通りです。採択後にトラブルになりやすいのがまさにそこなんです。「業者に任せたから大丈夫」と思っていたら、実際の事業内容と申請書の内容がずれていて、実績報告の段階で説明できない、というケースを何件も見てきました。代行してもらっても、中身は自分の言葉で説明できる状態にしておく必要があります。

丸投げ代行にはどんなリスクがありますか

田中さん(創業準備中)「丸投げは危険」ってよく聞きますけど、具体的にどう危険なんですか?
池田診断士(中小企業診断士)大きく3つです。1つ目は、事業内容を一番わかっているのは事業者自身なので、丸投げの計画書はどうしても中身が薄くなること。審査員はそこを見抜きます。2つ目は、「採択率100%」のような誇大な宣伝をする業者が一部にいること。採択率を保証すること自体、実務上あり得ません。3つ目は、着手金だけ取って質の低い申請を出し、不採択でも責任を取らない業者がいることです。
田中さん(創業準備中)こわいですね……。見分け方ってあるんですか?
池田診断士(中小企業診断士)断定はできませんが、目安はあります。契約前に業務範囲・料金体系・成功報酬の条件を書面で示さない業者、「絶対採択される」と言い切る業者は警戒したほうがいいです。逆に、デメリットや不採択の可能性を最初にきちんと説明してくれる相手は、比較的信頼できる傾向にあります。

適正な頼み方はどうすればいいですか

田中さん(創業準備中)じゃあ、私はどう専門家と付き合えばいいんでしょう。
池田診断士(中小企業診断士)私がいつもお伝えしているのは、「骨格は自分、磨きは専門家」という関わり方です。事業の目的・誰に何を届けたいか・なぜ今やるのか、という骨格の部分は、事業者本人にしか書けません。そこを専門家に丸投げすると、審査員に響く言葉にならないんです。専門家の役割は、その骨格を審査基準に沿って磨き上げたり、収支計画の数字を整合させたり、様式の書き方を整えたりすることです。
田中さん(創業準備中)なるほど。自分で書く部分は残るんですね。
池田診断士(中小企業診断士)はい。それと、いきなり有料の代行を探す前に、商工会・商工会議所やよろず支援拠点といった無料の公的相談窓口も選択肢に入れてください。ここで足りることも多いです。私は有料の支援者ですが、「公的機関の無料相談で足りることは、そちらで十分です」と最初にお伝えしています。

代行を頼む前に確認すべきことは

田中さん(創業準備中)実際に専門家を探すとき、何を確認しておけばいいですか。チェックリストがあると助かります。
池田診断士(中小企業診断士)頼む前にこの5つは確認してください。
  1. 資格・専門領域の確認 — 行政書士なのか、診断士なのか、業務範囲はどこまでか
  2. 料金体系の確認 — 着手金・成功報酬の割合、不採択時の扱いを契約前に書面で
  3. 「採択率100%」等の誇大表現がないか — 保証はできない性質のものです
  4. 骨格部分に自分がどう関わるか — 事業計画のヒアリングにどれだけ時間を割いてくれるか
  5. 実績報告まで伴走してくれるか — 採択後の実績報告・精算まで見てくれる支援者か、申請書提出だけの支援者か
田中さん(創業準備中)5番、盲点でした。採択されたら終わり、じゃないんですね。
池田診断士(中小企業診断士)そうなんです。補助金は採択されてからが本番で、実績報告や精算払いの手続きまで続きます。この点は入金のタイミングを扱った記事にも関わる話なので、資金繰りと合わせて確認しておくといいです。交付決定前に発注してしまうNGについてはこちらの記事にまとめています。

まとめると、代行はどう考えればいいですか

田中さん(創業準備中)最後に整理すると、代行=違法ではないけど、丸投げは危ない、ということですね。
池田診断士(中小企業診断士)その理解で大丈夫です。代行という行為自体は、資格に沿った適正な範囲であれば問題ありません。ただ、申請の主体は事業者本人であり続けること、骨格は自分で作ること、この2つを忘れずに専門家を選んでもらえればと思います。制度選びや支援者選びで迷ったら、状況を伺えば整理のお手伝いができますので、無料相談も気軽にどうぞ。気になる制度は検索から探せます。
田中さん(創業準備中)ありがとうございます。まず自分で骨格を書いてみます!

※ 本記事は一般的な解説です。行政書士法上の適法性の判断や個別契約の可否は、行政書士会・弁護士等の専門家にご確認ください。補助金の要件・審査基準は制度・公募回ごとに異なります。

※ 聞き手(田中さん=創業準備中・佐藤さん=開業1年目・鈴木社長=経営歴20年)は、読者のみなさまの疑問を代弁する架空のキャラクターです。回答はすべて運営者・池田哲郎(中小企業診断士)本人によるものです。

無料|48時間以内|送るのは提案書1通だけ

御社が使える補助金、提案書にまとめます

作るのは中小企業診断士・池田哲郎本人。お送りするのは提案書1通だけで、その後の営業連絡はしません

補助金提案書を受け取る →

この記事を書いた人

池田哲郎(中小企業診断士・池田計画合同会社)。山梨県を拠点に、補助金申請支援・事業計画づくりを本業とする現役の実務家。プロフィール →

読んでも自社への当てはめに迷ったら

無料相談へ