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制度の選び方

市区町村の補助金はなぜ見逃されるのか——国の制度にはない特徴と探し方

「市の補助金は商工会で偶然聞いた」という声は珍しくありません。市区町村の制度は広報が弱く、見逃しが構造的に起きます。探し方の実務を解説します。

「うちの市にも補助金があったなんて知らなかった」——このセリフを、開業後しばらく経った事業者さんから何度も聞いてきました。国の補助金は情報を追いやすい一方、市区町村の制度は驚くほど見逃されます。今回は、佐藤さんとの対話で「なぜ見逃されるのか」と「どう探せば拾えるのか」を整理します。

国の補助金は調べたのに、市の補助金は知らなかった

佐藤さん(開業1年目)池田さん、ものづくり補助金とか小規模事業者持続化補助金とか、国の制度は自分なりに調べたつもりだったんです。でも先日、商工会議所の方と雑談してたら「市にも似たような補助金がありますよ」って言われて。全然知りませんでした。
池田診断士(中小企業診断士)その話、本当によく聞きます。市区町村の制度は、国の制度に比べて見逃されやすい構造になっているんです。
佐藤さん(開業1年目)構造的にってどういうことですか?たまたま自分が調べ不足だったわけじゃなく?
池田診断士(中小企業診断士)もちろん個人の調べ方にもよりますが、それ以上に「情報の置かれ方」が違うんです。国の補助金はjGrantsという電子申請システムに集約されていて、検索すれば一覧で出てきます。でも市区町村の制度は、各自治体の公式サイトの奥のほうに、担当課のページとしてPDFで置かれていることが多い。横断検索する仕組みがそもそも整っていないんです。
佐藤さん(開業1年目)じゃあ、市の名前で検索すればいいってわけでもないんですか?
池田診断士(中小企業診断士)検索でヒットすればまだいいほうです。担当課の名前を知らないと探せないページ構成になっている自治体もありますし、更新頻度が低くて古い年度のページが上位に出てくることもある。「調べたつもり」でも、実際には存在に気づけていないケースが多いんです。

市区町村の制度にはどんな傾向があるか

佐藤さん(開業1年目)市の補助金って、国の補助金とは何か違うものなんですか?
池田診断士(中小企業診断士)断定はできませんが、傾向としてお伝えできることはあります。まず、金額は国の制度より小口のものが多い傾向にあります。それから、先着順で予算がなくなり次第終了、という運用のものが多い印象です。手続きも国の電子申請に比べて軽いことが多く、窓口に相談に行けばその場で書き方を教えてもらえることもあります。
佐藤さん(開業1年目)先着順で終わっちゃうって、けっこう怖いですね。
池田診断士(中小企業診断士)そうなんです。「気づいた時にはもう予算枠が埋まっていた」という相談は実際にあります。存在に気づくのが遅れると、金額の大小以前に「間に合わない」ということが起こり得るのが市区町村制度の特徴です。だからこそ、早く見つけて、早く動くことが国の制度以上に大事になります。
佐藤さん(開業1年目)国の制度と市の制度、両方使えることもあるんですか?
池田診断士(中小企業診断士)名目(対象経費)を分ければ併用できることが多いです。ただ、優先順位の付け方や併用の考え方は少し長くなるので、以前の記事にまとめています。今日は「見つけ方」に絞ってお話ししますね。

見逃さないための三点確認

佐藤さん(開業1年目)具体的に、どうやって探せばいいんでしょうか。
池田診断士(中小企業診断士)私がいつもお伝えしているのは、次の三点を確認する、というシンプルな手順です。
確認先 見るべきもの 補足
① 自治体の公式サイト 「産業振興課」「商工課」など事業者支援の担当課ページ サイト内検索に「補助金」「助成金」と入れて探す
② 商工会・商工会議所 会報・窓口での案内 公式サイトに出る前に窓口で先に案内されることがある
③ 当サイトの都道府県ページ 公式ドメインの制度情報を出典URL付きで整理 例: 山梨県のページ
佐藤さん(開業1年目)商工会が①より早いこともあるんですか?
池田診断士(中小企業診断士)あります。自治体の担当課と商工会・商工会議所は情報を共有していることが多いので、公式サイトの更新を待たずに窓口で聞けることがあるんです。逆に、商工会に入っていない事業者さんは、その分だけ情報から遠くなりやすい。会員でなくても相談窓口を使えることが多いので、一度顔を出してみる価値はあります。
佐藤さん(開業1年目)当サイトはどのくらいカバーしているんですか?
池田診断士(中小企業診断士)2026年7月時点で、47都道府県の自治体制度3,562件を、公式ドメインのみから収集して掲載しています。すべての制度に出典URLと最終確認日時をつけているので、「この情報はいつ時点のものか」が分かる形にしています。ただ、これは私たちが把握できた範囲であって、全市区町村の制度を完全に網羅している保証はありません。①②の一次情報にあたる習慣は、当サイトを使う場合でも残しておいてください。

見つけたあとに確認すべきこと

佐藤さん(開業1年目)見つけたら、そのまま申請していいんでしょうか。
池田診断士(中小企業診断士)まず、募集がまだ続いているかの確認が最優先です。先ほどお話ししたように、先着順で終了する制度もあるので、公式サイトの一次情報で「現在も受付中か」を必ず確認してください。当サイトの制度ページにも最終確認日時を出していますが、申請前は必ず公式ページ自体も見に行くようにお願いしています。
佐藤さん(開業1年目)見つけて、受付中だと分かったら、次は?
池田診断士(中小企業診断士)対象者・対象経費・スケジュールを公募要領(または要綱)で確認する段階です。ここは国の制度と同じで、要件を読み飛ばして進めると後で「対象外でした」となりかねません。読み方の順番は別の記事で詳しく説明しているので、そちらも参考にしてください。

今日からできる見逃し対策チェックリスト

佐藤さん(開業1年目)最後に、今日から私がやるべきことを教えてください。
池田診断士(中小企業診断士)この三点確認を、まず一度やってみてください。
  1. 事業所がある市区町村の公式サイトで「産業振興課」「商工課」を探し、補助金・助成金のページを確認する
  2. 商工会・商工会議所に一度連絡し、事業者向けの補助金の案内があるか聞いてみる
  3. 当サイトの都道府県ページ検索ページで地域の制度を確認し、出典URLから公式ページに必ず飛んで最新状況を見る
  4. 気になる制度があれば、先着順・予算上限の有無を確認し、あるなら早めに窓口へ相談に行く
  5. 国の制度と重複しそうな場合は、対象経費の切り分けを考える(優先順位の記事を参照)
佐藤さん(開業1年目)商工会、入ってないから何となく敷居が高い気がしてたんですが、聞くだけなら行ってみます。
池田診断士(中小企業診断士)それが一番早いです。市区町村の制度は「知っているかどうか」で差がつく世界なので、まずは知る接点を増やすことが対策そのものになります。自分で調べる時間が取れない場合は、ご相談いただければ、状況に応じて一緒に整理することもできます。

※ 本記事の内容は一般的な傾向の解説です。個別の自治体制度の対象者・対象経費・締切・予算状況は自治体ごとに異なります。申請の際は必ず各自治体の公式サイト・公募要領(要綱)の原本でご確認ください。

※ 聞き手(田中さん=創業準備中・佐藤さん=開業1年目・鈴木社長=経営歴20年)は、読者のみなさまの疑問を代弁する架空のキャラクターです。回答はすべて運営者・池田哲郎(中小企業診断士)本人によるものです。

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この記事を書いた人

池田哲郎(中小企業診断士・池田計画合同会社)。山梨県を拠点に、補助金申請支援・事業計画づくりを本業とする現役の実務家。プロフィール →

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