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対話で学ぶ

【対話で学ぶ】新しく事業を始める人の補助金入門——最初に何を確認すればいい?

「創業に補助金って使えるんですか?」——創業準備中の田中さんの素朴な疑問に、現役の中小企業診断士・池田が実務目線で答えます。制度名の前に確認すべきこと、後払いの落とし穴、フライング発注のNGまで。

これから事業を始める方から、いちばん多くいただくのが「創業に補助金は使えますか?」というご質問です。今回は、創業準備中の田中さんとの対話形式で、制度名を覚える前に知っておくべき「補助金の使い方の順番」をお話しします。

「補助金ありき」で考えていませんか

田中さん(創業準備中)池田さん、私、来年カフェを開こうと思っていて。SNSで「創業には補助金がもらえる」って見たんですけど、本当ですか?
池田診断士(中小企業診断士)本当です。ただ、最初に少し耳の痛いことを言いますね。補助金は「もらえるお金」ではなく「あとから一部戻ってくるお金」です。ここを誤解したまま計画を立てると、資金繰りで苦しくなります。
田中さん(創業準備中)えっ、先にもらえるんじゃないんですか?
池田診断士(中小企業診断士)ほとんどの補助金は精算払い(後払い)です。たとえば100万円の設備を買う場合、まず自分で100万円を払って、事業の報告をして、審査が通ってから50万円なり66万円なりが振り込まれる。立て替えるお金は全額、先に必要なんです。
田中さん(創業準備中)そうなんだ……。じゃあ手元のお金が少ない私は、補助金より先に考えることがある?
池田診断士(中小企業診断士)いい着眼です。創業期はまず自己資金+創業融資(日本政策金融公庫や地元の金融機関)で資金の土台を作って、補助金は「あれば設備や販促を一段良くできる上乗せ」と位置づけるのが実務的な順番です。補助金を資金計画の当てにした瞬間、不採択=計画倒れになりますから。

創業期に候補になる制度

田中さん(創業準備中)順番はわかりました。それで、実際どんな補助金が候補になるんですか?
池田診断士(中小企業診断士)創業期によく検討する制度を整理するとこうなります。金額や補助率は公募回ごとに変わるので、この表は「地図」として見てください。
制度の系統 何に使えるか 創業期との相性
小規模事業者持続化補助金 チラシ・HP・看板・小さめの設備など販路開拓 ◎ 創業向けの枠が設けられる回が多く、最初の一歩に向く
IT導入補助金 会計ソフト・予約システム・POSレジ等 ○ 対象ツールが決まっているので開業準備と合えば有効
ものづくり補助金 本格的な設備投資・新サービス開発 △ 規模が大きく、創業直後より実績が出てからが本命
都道府県・市町村の制度 空き店舗活用、家賃補助、創業支援など地域による ◎ 競争率が国の制度より低いことが多く、狙い目
田中さん(創業準備中)市町村の制度なんてあるんですね。全然知らなかった。
池田診断士(中小企業診断士)ここが一番の穴場です。市町村の制度は積極的に宣伝されないことが多く、知らずにもらい損ねるケースをよく見ます。商店街の空き店舗で開業するなら家賃補助、といった「小粒だけど確実に効く」制度が地域ごとにあります。お住まいの自治体名で検索してみるか、商工会・商工会議所に聞くのが早いです。

申請前の「NG」を先に知っておく

田中さん(創業準備中)良さそうな補助金を見つけたら、すぐ申請すればいいんですか?
池田診断士(中小企業診断士)その前に、絶対にやってはいけないことを1つだけ覚えてください。交付決定の前に、発注・契約・支払いをしないことです。
田中さん(創業準備中)えっと……採択されたら発注していいんですよね?
池田診断士(中小企業診断士)違うんです、そこが一番の落とし穴で。「採択」と「交付決定」は別の手続きです。多くの制度では交付決定より前に発注したものは補助対象外になります。「もう内装工事を契約しちゃったんですけど」というご相談、本当に多いんですが、原則救えません。詳しくはフライング着工の記事に書きました。
田中さん(創業準備中)危なかった……。開店日から逆算すると、早く発注したくなりますもんね。
池田診断士(中小企業診断士)そうなんです。だから補助金は「見つけた日」ではなく「締切と交付決定の時期から逆算」で考えます。開店日が動かせないなら、補助金に載せる経費と載せない経費を分ける判断も必要です。締切カレンダーで時間軸を先に確認するのはそのためです。

「私でも申請書は書ける?」

田中さん(創業準備中)正直、申請書って難しそうで……。代行業者さんに全部お願いしちゃうのはダメですか?
池田診断士(中小企業診断士)「全部丸投げ」はおすすめしません。理由は2つ。まず、事業内容を一番わかっているのは田中さん自身なので、丸投げで書かれた計画書は審査で薄さが見えます。もう1つは、世の中には手数料だけ取って質の低い申請を出す業者もいるからです。「採択率100%」みたいな宣伝文句は疑ってください。
田中さん(創業準備中)じゃあ、自分で書くしかない?
池田診断士(中小企業診断士)骨格は自分で、磨きは専門家と、が現実的です。それと、その前に無料で使える公的な相談窓口があります。商工会・商工会議所、よろず支援拠点。ここで足りることも多い。私は有料の支援者ですが、「公的機関の無料相談で足りることは、そちらで十分です」と最初にお伝えしています。その線引きも含めて相談してもらえればいいんです。

今日から始める準備チェックリスト

田中さん(創業準備中)最後に、私が今日からやるべきことを教えてください!
池田診断士(中小企業診断士)開業までの時間を味方につけるなら、この順番です。
  1. 資金の土台を固める — 自己資金の棚卸しと、創業融資の情報収集を先に
  2. 事業計画の骨格を書く — 誰に・何を・いくらで。補助金の申請書はこの流用でできています
  3. 買うものリストを作る — 設備・内装・販促を金額つきで一覧に(見積はまだ取るだけ、発注はしない)
  4. 地元の制度を調べる — 市町村名+「創業 補助金」で検索、商工会にも一度顔を出す
  5. 締切から逆算する — 候補制度の公募時期と交付決定時期をカレンダーで確認
田中さん(創業準備中)「発注はしない」を赤字で手帳に書いておきます(笑)。ありがとうございました!
池田診断士(中小企業診断士)それが今日いちばん大事な持ち帰りです。制度選びで迷ったら、状況を伺えば絞り込めますので、無料相談も気軽にどうぞ。

※ 本記事の制度情報は一般的な解説です。補助率・上限額・要件は公募回ごとに変わります。申請の際は必ず最新の公募要領(原本)をご確認ください。

※ 聞き手(田中さん=創業準備中・佐藤さん=開業1年目・鈴木社長=経営歴20年)は、読者のみなさまの疑問を代弁する架空のキャラクターです。回答はすべて運営者・池田哲郎(中小企業診断士)本人によるものです。

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この記事を書いた人

池田哲郎(中小企業診断士・池田計画合同会社)。山梨県を拠点に、補助金申請支援・事業計画づくりを本業とする現役の実務家。プロフィール →

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