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申請前チェック

公募要領はどこから読む?最初の10分で「自社が出せるか」を見極める読み方

「公募要領 読み方が分からない」——60ページを頭から読む必要はありません。対象者要件から審査項目まで、実務で使う読む順番と「途中でやめる」判断基準を解説します。

補助金の公募要領は、長いものだと60ページを超えます。今回は、開業1年目の店主・佐藤さんとの対話形式で、公募要領を「どこから読むか」「どこで読むのをやめていいか」という、実務的な読み方の順番をお話しします。

公募要領はなぜ「心が折れる」のか

佐藤さん(開業1年目)池田さん、気になる補助金があってPDFを開いたんですけど、60ページもあって。目次を見た瞬間に閉じちゃいました。
池田診断士(中小企業診断士)その反応、実はすごく健全です。公募要領は申請者向けの説明書であると同時に、審査側・事務局側の運用ルールブックでもあります。だから申請者に直接関係ない条文みたいな箇所も大量に混ざっている。全部読もうとすると、誰でも心が折れます。
佐藤さん(開業1年目)じゃあ、どうすればいいんですか?
池田診断士(中小企業診断士)結論から言うと、頭から読まないことです。読む順番があります。60ページ全部を精読するのではなく、「自社が出せるかどうか」を最短で判定するための順番で拾い読みしていきます。

公募要領はどの順番で読めばいい?

佐藤さん(開業1年目)順番があるんですね。具体的にはどこから?
池田診断士(中小企業診断士)私が実務でいつも使っている順番はこうです。
順番 見る項目 確認すること
対象者要件 そもそも自社が申請できる立場か
対象経費 買いたいもの・やりたいことが対象に入るか
事業スケジュール(公募期間・交付決定時期) 自社の計画に間に合うか
補助率・上限額 自己資金がどれだけ必要になるか
審査項目・加点項目 通る余地がどれだけあるか
申請様式 実際に何を書いて何を添付するか
佐藤さん(開業1年目)対象経費とか補助率より先に、まず「出せるか」を見るんですね。
池田診断士(中小企業診断士)そうです。多くの人は逆に、補助率や上限額から見てしまう。上限額の桁が大きいほど目が行くのは自然なんですが、そこは順番として一番最後でいい情報です。自社がそもそも対象者要件を満たしていなければ、補助率がいくつだろうと関係がありませんから。
佐藤さん(開業1年目)対象者要件って、具体的にはどんなことをチェックするんですか?
池田診断士(中小企業診断士)業種区分、資本金・従業員数の上限、税金の未納がないか、直近の決算で債務超過になっていないか、といった項目です。ここは制度ごとに条件が細かく違うので、この記事で一般的な数字は書きません。必ずその回の公募要領原本の「対象者」の章で確認してください。

どこかでアウトなら、そこで読むのをやめていい

佐藤さん(開業1年目)全部見て、最後にダメだと分かったら時間の無駄ですよね。
池田診断士(中小企業診断士)まさにそこが今日いちばん伝えたいことです。①〜③のどこかで「自社は無理だ」と分かったら、その時点で読むのをやめて次の制度に移ってください。対象者要件を満たさないのに対象経費まで読み込んだり、対象経費が合わないのにスケジュールまで細かく確認したりするのは、時間の使い方として非効率です。
佐藤さん(開業1年目)「最後まで読まないと失礼な気がする」って、なんとなく思っちゃいます。
池田診断士(中小企業診断士)気持ちはわかりますが、公募要領は契約書ではなく「自社に合うか」を判定する資料です。合わないと分かった時点で見切りをつけるのは、悪いことでも手抜きでもありません。むしろ、限られた時間を「合う可能性がある制度」に振り向けるための技術です。何百件もある候補から自社に合う制度を絞り込む考え方は、別の記事でも詳しく整理しています。
佐藤さん(開業1年目)なるほど。①〜③は「足切り」で見て、④以降は「合いそうな制度だけ」丁寧に読むということですね。
池田診断士(中小企業診断士)その理解で合っています。③のスケジュールで「間に合わない」と分かるケースも実は多いです。公募の締切だけでなく、採択発表・交付決定・事業実施期間・実績報告の締切まで、全体の日程がどう並んでいるかを見る必要があります。この全体の流れは交付決定から入金までのスケジュール記事、締切そのものは締切一覧であわせて確認してもらうと早いです。

読み飛ばすと事故になるのはどこ?

佐藤さん(開業1年目)逆に、④以降で「ここは絶対読み飛ばしちゃダメ」という箇所ってありますか?
池田診断士(中小企業診断士)3つ、実務でよく事故が起きる箇所があります。1つ目は対象経費の「但し書き」です。「◯◯費」と大きく書かれていても、その下に小さく「ただし△△の場合は対象外」という条件が続いていることが珍しくありません。この但し書きを読み飛ばして見積を確定させ、あとから経費の一部が対象外だと判明する相談を実際に何件も見てきました。
佐藤さん(開業1年目)見出しだけ見て安心するのは危ないんですね。
池田診断士(中小企業診断士)2つ目は補助率の上乗せ要件、特に賃上げ関連です。制度によっては賃上げ要件を満たすかどうかで補助率そのものが変わります。ここを事業計画の出来と勘違いして後回しにすると、投資額の前提が土台から崩れます。私は相談の最初の段階で必ず賃金台帳を確認しますが、その理由はこちらの記事にまとめています。
佐藤さん(開業1年目)3つ目は?
池田診断士(中小企業診断士)交付決定前の着手に関する条項です。「交付決定前の発注・契約・支払いは補助対象外」という一文は、要領のどこかに必ず書かれています。ここを読み飛ばして採択直後に発注してしまい、対象外になる相談も繰り返し受けています。詳しくはフライング着工の記事で解説していますが、公募要領を読む段階でこの一文を探しておくだけで、事故はかなり防げます。
佐藤さん(開業1年目)見出しの大きい章より、小さい注意書きの方が危ないってことですね。
池田診断士(中小企業診断士)その理解が正確です。公募要領の事故は、たいてい「太字の見出し」ではなく「注釈」や「なお書き」で起きます。だからこそ、④の補助率・対象経費のあたりは飛ばし読みせず、丁寧に読む価値があります。

最初の10分チェックリスト

佐藤さん(開業1年目)最後に、実際に要領を開いたときの手順を整理してもらえますか?
池田診断士(中小企業診断士)最初の10分で、この順にチェックしてください。
  1. 対象者要件のページを開き、自社の業種・規模・財務状況が該当するか確認する
  2. 対象経費の章を開き、やりたいことが「対象」の欄にあるか、但し書きがないか確認する
  3. スケジュールのページで、公募締切・交付決定時期・事業実施期間・実績報告の締切を確認する
  4. ①〜③のどこかでアウトなら、ここで読むのをやめて次の制度を探す
  5. 全部クリアなら、補助率・上限額・審査項目・様式へと読み進める
佐藤さん(開業1年目)10分で全部は無理でも、ここまでで「見込みがあるかどうか」は分かりそうです。
池田診断士(中小企業診断士)それで十分です。公募要領は精読する前に「見込みがあるかどうかの一次判定」をする資料でもあります。似た制度がいくつもあって迷う場合は、まず検索で候補を洗い出してから、この順番で1本ずつふるいにかけていくのがいちばん早いです。1人で判断がつかない場合は、こちらからご相談いただければ、要領を一緒に読み解きます。

※ 本記事は公募要領を読む際の一般的な手順を紹介したものです。要件・対象経費・補助率・スケジュールは制度・公募回ごとに異なります。申請の判断は必ず最新の公募要領(原本)でご確認ください。

※ 聞き手(田中さん=創業準備中・佐藤さん=開業1年目・鈴木社長=経営歴20年)は、読者のみなさまの疑問を代弁する架空のキャラクターです。回答はすべて運営者・池田哲郎(中小企業診断士)本人によるものです。

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この記事を書いた人

池田哲郎(中小企業診断士・池田計画合同会社)。山梨県を拠点に、補助金申請支援・事業計画づくりを本業とする現役の実務家。プロフィール →

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