通る補助金ラボ
← 実務コラム一覧
対話で学ぶ

【対話で学ぶ】個人事業主でも補助金は使える?——法人との違いをやさしく整理

個人事業主でも補助金の多くは対象です。ただし開業届・確定申告書が前提になるなど、法人とは要件の読み方が変わります。実務目線で整理しました。

「補助金って法人じゃないともらえないんですよね?」——これは個人事業主の方からとても多いご質問です。結論から言うと、個人事業主でも使える補助金はたくさんあります。今回は開業して2年目の田中さんとの対話で、法人との違いや、申請前に準備しておくべきことを整理します。

個人事業主でも補助金は使える?

田中さん(創業準備中)池田さん、うちは法人化していない個人事業主なんですけど、補助金ってそもそも申請できるんでしょうか。周りから「法人じゃないと無理でしょ」って言われて。
池田診断士(中小企業診断士)その心配、よく聞きますが誤解です。小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金など、主要な補助金の多くは個人事業主も対象にしています。むしろ小規模事業者向けの制度は、個人事業主がメインの申請者層と言ってもいいくらいです。
田中さん(創業準備中)えっ、そうなんですか。じゃあ法人にしないと損してるってことは……。
池田診断士(中小企業診断士)補助金だけを理由に法人化する必要はありません。制度によっては法人だけが対象、逆に個人事業主だけが対象という枠もあって、どちらが有利かは制度次第です。ここは早合点しないでください。

開業届を出していないと補助金は使えない?

田中さん(創業準備中)うちは開業届、ちゃんと出してます。あれって必須なんですか?
池田診断士(中小企業診断士)実務上はほぼ必須と考えてください。多くの制度で、税務署に開業届を提出していること、そして確定申告をしていることが申請要件や添付書類の前提になっています。開業届を出していない、いわゆる「無申告」の状態だと、そもそも申請の土台に乗れません。
田中さん(創業準備中)私の友人が「開業届出してないけどずっと個人でやってる」って言ってたんですけど、その人は補助金は無理ってこと?
池田診断士(中小企業診断士)制度によりますが、まず開業届の提出と確定申告の実績が求められるケースが大半です。心当たりがあるなら、補助金の話の前に税理士さんに相談して、まず適正な状態に整えるのが先です。ここは私の専門外なので、税務の詳細は必ず税理士にご確認ください。

確定申告書は何に使われる?

田中さん(創業準備中)確定申告書って、補助金の審査で何に使われるんですか。ただの提出書類だと思ってました。
池田診断士(中小企業診断士)大きく2つの役割があります。1つは事業の実在確認です。「本当にこの事業を継続してやっている人か」を、法人でいう履歴事項全部証明書の代わりに確認する材料になります。もう1つは規模の確認です。売上高や従業員数から、小規模事業者・中小企業者の区分に当てはまるかを見ています。
田中さん(創業準備中)じゃあ確定申告、適当にやっちゃダメですね……。
池田診断士(中小企業診断士)その通りです。白色申告か青色申告か、申告の中身が薄いか厚いかが、審査書類の説得力にも関わってきます。特に売上の実績を根拠に事業計画を書く場面では、確定申告書の数字がそのまま土台になりますから。日頃の記帳を丁寧にしておくことが、実は一番の補助金対策だったりします。

法人向けの補助金と何が違う?

田中さん(創業準備中)法人と個人事業主で、補助金の中身自体は変わるんですか。
池田診断士(中小企業診断士)制度の名前や対象経費は同じでも、要件の読み方が変わるところがポイントです。たとえば「従業員数」という条件、法人なら役員は基本的に含めずに数えますが、個人事業主の場合は事業主本人の扱いや、家族従業者・専従者の数え方が制度ごとに違います。ここを自己判断で読み飛ばすと、対象外の枠で申請してしまうことがあります。
田中さん(創業準備中)家族で手伝ってもらってるんですけど、それも数え方が変わるってことですか。
池田診断士(中小企業診断士)可能性があります。公募要領には「常時使用する従業員」の定義が必ず書かれているので、そこだけは自分の目で確認するようにしてください。私が「要件を断定しない」とよく言うのは、この定義が公募回によって微妙に変わることがあるからなんです。

創業前でも使える補助金はある?

田中さん(創業準備中)ちなみに、まだ開業届も出していない、これから独立する段階でも使える補助金ってあるんですか。
池田診断士(中小企業診断士)考え方としては、「開業を前提に、これから始める人」向けの枠を設けている制度がある、というのが正確な言い方です。「創業予定者」を対象に含める公募回もありますし、自治体独自の創業支援金は開業前から申請できる設計のものもあります。ただしこれも「今回の公募でその枠があるか」を毎回確認する必要があって、常に開いているわけではありません。
田中さん(創業準備中)じゃあ、開業前の今から動いておいた方がいいこともあるんですね。
池田診断士(中小企業診断士)あります。事業計画の骨格を作っておくこと、そして開業予定日から逆算して締切と交付決定の時期を見ておくことです。創業に関する補助金の考え方の基本は、以前の記事新しく事業を始める人の補助金入門にまとめていますので、あわせて読んでみてください。

個人事業主が申請前に気をつけることは?

田中さん(創業準備中)個人事業主ならではの落とし穴みたいなものってありますか。
池田診断士(中小企業診断士)3つあります。1つ目は今話した開業届と確定申告の実績。2つ目は屋号と実際の口座名義のずれです。振込口座が屋号入りかどうか、本人名義かどうかで書類不備になることがあります。3つ目は、入金までの資金繰りです。個人事業主は法人以上に手元資金が心もとないことが多いので、補助金は後払いだという前提を忘れると資金がショートします。この点は補助金の入金はいつ来るのかの記事も参考にしてください。
田中さん(創業準備中)資金繰りといえば、事業がうまくいかない時期に補助金って助けになりますか。
池田診断士(中小企業診断士)補助金は基本的に前向きな投資に対するものなので、「赤字の穴埋め」には使えません。資金繰りが厳しい局面での立て直しについては、別の視点で資金繰り改善の考え方を書いていますので、状況によってはそちらも参考になると思います。

個人事業主が申請前に準備しておくものは?

田中さん(創業準備中)最後に、今日からできる準備を教えてください。
池田診断士(中小企業診断士)個人事業主の方が申請前に手元にあるとスムーズになる書類を一覧にしました。
準備するもの 何のために使うか 今すぐできること
開業届の控え 事業の実在・開始時期の確認 未提出なら税理士に相談して提出
直近1〜2期分の確定申告書 事業規模・売上実績の確認 控えをスキャンして保管しておく
事業用の通帳・口座情報 補助金の振込先、経費支払いの証跡 屋号名義か本人名義かを確認
見積書(相見積もり含む) 補助対象経費の妥当性確認 発注はせず、見積だけ先に取る
事業計画のメモ 申請書の骨格になる 「誰に・何を・いくらで」を書き出す
田中さん(創業準備中)開業届と確定申告、地味だけど一番大事なんですね。
池田診断士(中小企業診断士)そうなんです。派手な話ではないんですが、個人事業主にとってはここが法人の登記簿謄本の代わりになっていると考えてください。迷ったら、どの制度が自分に合うかは検索で調べるか、締切の時期は締切カレンダーで確認してみてください。個別の状況を伺えたほうが早いこともあるので、無料相談も遠慮なくどうぞ。

※ 本記事の制度情報は一般的な解説です。対象者要件・補助率・上限額・締切は公募回ごとに変わります。申請の際は必ず最新の公募要領(原本)をご確認ください。税務・法務に関する判断は税理士・行政書士等の専門家にご相談ください。

※ 聞き手(田中さん=創業準備中・佐藤さん=開業1年目・鈴木社長=経営歴20年)は、読者のみなさまの疑問を代弁する架空のキャラクターです。回答はすべて運営者・池田哲郎(中小企業診断士)本人によるものです。

無料|48時間以内|送るのは提案書1通だけ

御社が使える補助金、提案書にまとめます

作るのは中小企業診断士・池田哲郎本人。お送りするのは提案書1通だけで、その後の営業連絡はしません

補助金提案書を受け取る →

この記事を書いた人

池田哲郎(中小企業診断士・池田計画合同会社)。山梨県を拠点に、補助金申請支援・事業計画づくりを本業とする現役の実務家。プロフィール →

読んでも自社への当てはめに迷ったら

無料相談へ