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建設業が使える補助金の探し方——何から見ればいい?

建設業の補助金探しは「ICT建機」「人材確保」「事業承継」の3系統を押さえるのが近道です。重機は納期が長く締切逆算が命、賃上げ要件との相性もよい業種です。

「建設業でも使える補助金ってあるんですか?」——このご質問、実はとても多いんです。今回は創業準備中の田中さんとの対話形式で、建設業が候補にすべき補助金の系統と、探すときの順番を整理します。重機や建機は納期が長いため、締切からの逆算が他業種以上に重要になる点にも触れます。

建設業でも補助金って使えるんですか

田中さん(創業準備中)池田さん、知人が建設業を始めるんですが、「うちの業種は補助金なんて縁がない」って言うんです。本当にそうなんでしょうか。
池田診断士(中小企業診断士)いいえ、むしろ建設業は補助金と相性がいい業種の一つです。ICT建機・省力化設備、人材確保・育成、事業承継の3つの系統で、毎年のように何かしらの制度が動いています。「縁がない」は誤解ですね。
田中さん(創業準備中)えっ、そうなんですか。じゃあ何から調べればいいんでしょう。
池田診断士(中小企業診断士)制度名から入ると迷子になります。まず「自社の課題」を先に決めてください。設備を更新したいのか、人が足りないのか、後継者に引き継ぎたいのか。課題が決まれば、探すべき制度の系統が自動的に絞られます。

ICT建機や省力化設備にはどんな補助金がありますか

田中さん(創業準備中)うちの知人は、ICT建機の導入を考えているそうです。
池田診断士(中小企業診断士)ICT施工に対応した建機や、測量・出来形管理のデジタル機器は、ものづくり補助金や省力化投資関連の補助金で対象になることがあります。ただし「建機だから必ず対象」ではありません。制度ごとに対象経費の定義が違うので、公募要領で機種・用途が該当するか確認する作業が必須です。
田中さん(創業準備中)なるほど、建機なら何でもいいわけじゃないんですね。
池田診断士(中小企業診断士)そうなんです。それと、ここが建設業特有の重要ポイントなんですが、重機は発注してから納品まで数ヶ月かかることが珍しくありません。補助金は交付決定の前に発注すると対象外になる制度がほとんどなので、締切から逆算して「いつ発注すれば間に合うか」を先に計算しておく必要があります。この点はフライング着工の記事にも書きましたが、建機はリードタイムが長い分、被害が大きくなりやすいんです。
田中さん(創業準備中)交付決定を待ってから発注していたら、工期に間に合わない、なんてこともありそうですね。
池田診断士(中小企業診断士)まさにそこが実務の悩みどころです。工期が動かせない案件なら「その建機は補助金に載せずに自己資金で先に手配し、別の経費だけ補助対象にする」といった切り分けも検討します。締切カレンダーで公募スケジュールと納期を突き合わせてから動くのが鉄則です。

人材確保や育成の補助金は建設業にも使えますか

田中さん(創業準備中)人手不足はうちの知人も悩んでいます。人材系の補助金ってあるんですか。
池田診断士(中小企業診断士)あります。建設業は若手の入職促進や技能実習、資格取得支援に対する助成の対象になりやすい業種です。国のキャリアアップ助成金や人材開発支援助成金の系統、それに建設業向けの業界団体経由の助成もあります。ここは厚生労働省系の「助成金」と経済産業省系の「補助金」が両方ある領域なので、制度の管轄によって申請窓口も要件もまったく違います。
田中さん(創業準備中)助成金と補助金って、そんなに違うんですか。
池田診断士(中小企業診断士)大きく違います。助成金は要件を満たせば比較的受給しやすい一方、就業規則の整備や雇用保険の加入状況などが厳しく問われます。補助金は審査による採択制で、計画の中身が問われます。どちらも「建設業だから」で自動的にもらえるものではないので、自社がどの要件を満たしているか、まず整理するところから始めてください。

事業承継でも補助金は使えますか

田中さん(創業準備中)うちの知人、実は将来的にお父さんの建設業を継ぐ予定もあるそうなんです。そういう場合はどうですか。
池田診断士(中小企業診断士)事業承継・引継ぎ補助金の系統ですね。後継者が新しい設備投資や事業転換に取り組む際の費用の一部を対象にする制度があります。建設業は経営者の高齢化が進んでいる業種の一つなので、承継のタイミングで設備更新や新分野への展開を組み合わせる事業者は多いです。
田中さん(創業準備中)承継と設備投資を同時に進める、みたいなイメージですか。
池田診断士(中小企業診断士)はい。ただ、承継系の補助金は事業計画の一貫性が特に見られます。「なぜこのタイミングで、なぜこの投資が必要か」というストーリーが求められるので、単に「建機を買い替えたい」だけでは弱いんです。承継を機に事業をどう変えていくか、という筋道を先に描いてください。

建設業は賃上げ要件と相性がいいって本当ですか

田中さん(創業準備中)さっき「建設業は補助金と相性がいい」っておっしゃっていましたが、それってどういう意味ですか。
池田診断士(中小企業診断士)多くの補助金では、賃上げに取り組む事業者の補助率を上乗せする仕組みがあります。建設業はもともと技能者の処遇改善(賃金水準の引き上げ)が業界全体の課題として国交省の方針にも位置づけられていますので、賃上げの計画自体が事業目的と噛み合いやすいんです。「補助金のために賃上げする」のではなく、「もともと必要な賃上げに、補助金の上乗せが乗る」という順番で捉えると自然です。
田中さん(創業準備中)でも賃上げって、口で言うだけじゃダメですよね。
池田診断士(中小企業診断士)その通りです。賃上げ要件は賃金台帳という客観データで審査されます。「上げるつもりです」では通りません。申請前に自社の賃金台帳を確認して、実際にどの水準まで引き上げが可能かを詰めておく必要があります。詳しくは賃金台帳の確認記事にまとめていますので、あわせて読んでみてください。

結局、建設業はどの制度から見ればいいんですか

田中さん(創業準備中)系統はわかりましたが、実際に何から手をつければいいですか。
池田診断士(中小企業診断士)課題別に整理すると、こういう順番になります。
自社の課題 検討する制度の系統 建設業特有の注意点
建機・設備を更新したい ものづくり補助金、省力化投資系の補助金 対象機種か公募要領で必ず確認。納期が長いので締切逆算が最優先
人手不足・育成に悩んでいる キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金等 補助金ではなく助成金の場合、就業規則等の要件を先に確認
後継者への引継ぎを考えている 事業承継・引継ぎ補助金 設備投資単体でなく承継のストーリーとセットで計画を組む
賃上げを検討している/せざるを得ない 各種補助金の賃上げ枠・上乗せ 賃金台帳で実現可能な水準を先に確認してから申請
田中さん(創業準備中)表で見ると、うちの知人にはまず「建機の更新」と「賃上げ」の両方が関係しそうです。
池田診断士(中小企業診断士)そういう場合、複数の制度を同時に検討することになりますが、すべてに全力で申請するのは非効率です。採択されやすさと入金までの速さで優先順位をつける考え方は複数補助金の優先順位の記事で解説していますので、参考にしてください。

建機の納期と締切、どちらを先に確認すべきですか

田中さん(創業準備中)最後に確認したいんですが、建機を検討する場合、公募要領を読むのと、建機メーカーに納期を聞くのと、どちらを先にやるべきですか。
池田診断士(中小企業診断士)両方を早い段階で並行して聞いてください。片方だけ先に進めると、「公募には間に合うが納期が間に合わない」「納期は間に合うが交付決定前に契約せざるを得ない」といったズレが起きます。建設業の設備投資は、公募スケジュールと発注リードタイムの両方を早めに押さえておくことが、他業種以上に重要です。
田中さん(創業準備中)なるほど、片方だけ見ていたら危なかったです。
池田診断士(中小企業診断士)実際、そのパターンで相談を受けることが少なくありません。制度が決まる前から、メーカーには概算の納期だけでも聞いておくと動きやすくなります。

今日からできる確認リスト

田中さん(創業準備中)知人に伝える前に、今日からできることを整理してもらえますか。
池田診断士(中小企業診断士)建設業で補助金を探すなら、この順番で確認してください。
  1. 自社の課題を1つに絞る — 設備更新/人材/承継/賃上げのどれが今いちばん重い課題か
  2. 建機・設備の概算納期を先に聞く — メーカー・ディーラーに「発注から納品までどれくらいか」を確認
  3. 賃金台帳を手元に用意する — 賃上げ要件のある制度は数字で判断されるため
  4. 検索で制度候補を洗い出す — 「建設業」「省力化」「人材確保」などのキーワードで探す
  5. 締切カレンダーで公募スケジュールと納期を突き合わせる — 交付決定前の発注にならないか必ず確認
  6. 迷ったら無料相談へ — 複数制度が候補になる場合は優先順位づけも一緒に整理します
田中さん(創業準備中)建機の納期を先に聞く、というのは目からウロコでした。知人にすぐ伝えます。
池田診断士(中小企業診断士)それが一番効きます。制度選びは焦らず、課題→納期→締切の順で整理すれば、建設業でも十分に活用できますので。

※ 本記事の制度情報は一般的な解説です。補助率・上限額・対象経費・締切は制度ごと、公募回ごとに変わります。申請の際は必ず最新の公募要領(原本)をご確認ください。賃上げ要件の判定や税務上の取り扱いについては、社会保険労務士・税理士にもご確認ください。

※ 聞き手(田中さん=創業準備中・佐藤さん=開業1年目・鈴木社長=経営歴20年)は、読者のみなさまの疑問を代弁する架空のキャラクターです。回答はすべて運営者・池田哲郎(中小企業診断士)本人によるものです。

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この記事を書いた人

池田哲郎(中小企業診断士・池田計画合同会社)。山梨県を拠点に、補助金申請支援・事業計画づくりを本業とする現役の実務家。プロフィール →

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