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申請前チェック

補助金の実績報告とは?領収書・証拠書類でつまずかないための準備

「採択されたら終わり」ではありません。入金は実績報告と確定検査を経てから。領収書・証拠書類の準備でつまずかないための実務ポイントを、開業1年目の佐藤さんとの対話で解説します。

「採択されました」の通知が来た瞬間、肩の荷が下りた気持ちになる方は多いです。ですが実務的には、採択はゴールではなくスタートに近い位置にあります。ここから始まる実績報告と証拠書類の準備でつまずくと、入金の遅れや減額につながることがあります。今回は、開業1年目の店主・佐藤さんとの対話で、実績報告に向けて何を・いつから準備すべきかを整理します。

採択されたら、もう終わりだと思っていませんか

佐藤さん(開業1年目)池田さん、うちの店、先月ようやく持続化補助金の採択通知が届いたんです。もう肩の荷が下りました。
池田診断士(中小企業診断士)おめでとうございます。ただ、ここで大事な話をさせてください。採択は「これから事業を始めていい」という合図であって、補助金が確定でもらえるという意味ではまだないんです。
佐藤さん(開業1年目)えっ、採択されたのに……終わりじゃないんですか?
池田診断士(中小企業診断士)入金までにはもう一段階あります。事業を実施したあと、何にいくら使ったかを証明する「実績報告」を提出して、事務局の確定検査を受けて、それで初めて入金です。ここでつまずくと、金額が減らされたり、入金そのものが遅れることがあり得ます。
佐藤さん(開業1年目)減らされる……そんなことがあるんですか。
池田診断士(中小企業診断士)脅かしたいわけじゃないんです。備えておけば防げる話なので、順番に見ていきましょう。事業実施から入金までの全体の流れは交付決定と入金までのスケジュールの記事に整理してあるので、まだの方は先にそちらも確認しておいてください。

実績報告では、具体的に何を証明するの?

佐藤さん(開業1年目)「証拠書類」ってよく聞くんですけど、実際なにを集めればいいんですか?
池田診断士(中小企業診断士)一言でいうと、「発注して→納品されて→支払った」という一連の流れを、書類でひとつながりに証明します。求められる書類の名称や様式は制度ごとに違うので、ここでは系統だけ整理しますね。
段階 証明すること 書類の系統(名称・様式は制度により異なる)
発注段階 何を・いくらで・どこに発注したか 見積書・発注書・契約書
納品段階 発注どおりのものが実際に納品されたか 納品書・検収の記録・写真
支払段階 事業者自身のお金で支払ったか 請求書・振込明細・領収書
佐藤さん(開業1年目)結構な数ですね……これ全部、制度のホームページに書いてあるんですか?
池田診断士(中小企業診断士)はい、必要書類は交付規程や実績報告の手引きに定められています。制度によって違うので、ここで「これとこれを揃えればOK」と断定はできません。必ずご自身が採択された制度の原本で確認してください。

実務でよくあるつまずきはどこ?

佐藤さん(開業1年目)具体的に、どういうところでミスが起きやすいんですか?
池田診断士(中小企業診断士)これまで相談を受けてきた傾向として多いのは3つです。①書類の日付の前後関係が合わない(発注日より前の日付で見積書ができているなど) ②銀行振込ではなく現金で支払って記録が残っていない ③届け出をせずに仕様を変えてしまう、です。
佐藤さん(開業1年目)仕様を変える、というのは……?
池田診断士(中小企業診断士)たとえば機械の型番をより安いものに変えたり、内容を簡略化したりすることです。事業者としては「目的は同じだから大丈夫」と思っていても、届け出をしていないと交付決定の内容と実績が食い違ってしまい、差し戻しや減額の対象になり得ます。経費を途中で減らしたことが原因で、想定していた金額と実際の精算がずれてトラブルになった例は、一般化した実務の傾向として実際にあります。
佐藤さん(開業1年目)え、そんな細かいところまで見られるんですか。
池田診断士(中小企業診断士)見られます。だからこそ「変える前に確認する」がいちばんのリスク回避です。交付決定より前の発注がNGなのはよく知られていますが、交付決定の「後」も、内容を変えるときは事務局への確認が要ることが多いんです。

「申請した瞬間」から始める準備習慣

佐藤さん(開業1年目)じゃあ、実績報告の準備っていつから始めればいいんですか。採択されてから?
池田診断士(中小企業診断士)私がいつもお伝えしているのは、申請した瞬間からです。専用のフォルダを1つ作って、見積のやり取りやメール・PDFをそのまま放り込んでいく。実績報告の段階になって慌てて集め直そうとすると、当時のメールが見つからない、やり取りした担当者が異動していた、ということが起きます。
佐藤さん(開業1年目)フォルダ、今日作ります。
池田診断士(中小企業診断士)チェックリストにしておくと動きやすいですよ。
  1. 見積書・発注書・契約書は発注前にPDFで保存する
  2. 納品時の検収記録(受領印・写真など)を残す
  3. 支払いは通帳・明細で後から追える方法にする(現金払いは避けられるなら避ける)
  4. 仕様・内容を変えたくなったら、まず動く前に事務局へ確認する
  5. 案件ごとに「採択・交付申請・交付決定・実績報告」の期限を一覧で管理する
佐藤さん(開業1年目)5番目、私まだ「採択された!」で止まってました。
池田診断士(中小企業診断士)そこから先が本番、というくらいの気持ちでいてもらえると助かります。実は入金のあとも終わりではなくて、多くの補助金には数年間続く「事業化状況報告」があります。入金までの実績報告とは別の手続きなので、混同しないようにしてください。
佐藤さん(開業1年目)えっ、まだ続くんですか……。
池田診断士(中小企業診断士)制度にもよりますが、5年程度、簡単な報告を求められることが少なくありません。負担は実績報告ほど重くないことがほとんどですが、「もう終わった」と思って連絡先を変えてしまうと、事務局からの通知が届かなくなるので注意してください。

資金繰りとスケジュールも合わせて確認を

佐藤さん(開業1年目)実績報告が終わるまで、お金は立て替えたままということですよね。
池田診断士(中小企業診断士)そのとおりです。立て替え期間の資金計画は補助金の入金はいつ?の記事に詳しくまとめています。あわせて読んでおくと、資金繰りの見通しが立てやすくなります。
佐藤さん(開業1年目)分かりました。証拠書類、今日からちゃんと保存します!
池田診断士(中小企業診断士)それで十分です。準備の仕方に不安があれば、申請段階からでもご相談ください。実績報告でつまずかないための準備は、申請書を書いている今からもう始められます。

※ 実績報告で必要な書類・様式・期限は制度ごとに交付規程や手引きで定められています。本記事は一般的な傾向の整理であり、減額の基準や必要書類の網羅を保証するものではありません。必ず採択された制度の公募要領・交付規程の原本でご確認ください。

※ 聞き手(田中さん=創業準備中・佐藤さん=開業1年目・鈴木社長=経営歴20年)は、読者のみなさまの疑問を代弁する架空のキャラクターです。回答はすべて運営者・池田哲郎(中小企業診断士)本人によるものです。

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この記事を書いた人

池田哲郎(中小企業診断士・池田計画合同会社)。山梨県を拠点に、補助金申請支援・事業計画づくりを本業とする現役の実務家。プロフィール →

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