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対話で学ぶ

IT導入補助金とものづくり補助金、違いはどこ?どっちを使うべきか

「ITツールとものづくり、両方申請すればお得?」——結論は"何を買うかで決まる"です。対象・規模感・事務負担の違いを対話形式で整理します。

「IT導入補助金とものづくり補助金、どっちがいいんですか?」というご相談は本当に多いです。今回は創業準備中の田中さんとの対話で、この2つは競合する制度ではなく、そもそも土俵が違うという話を整理します。結論を先に言うと、選ぶ基準は「何を買うか」で、それ以外の理由で選ぶものではありません。

IT導入補助金とものづくり補助金、何が違うんですか

田中さん(創業準備中)池田さん、うちの会社、会計ソフトも入れたいし、将来的には自社製品の試作用に機械も欲しいんです。IT導入補助金とものづくり補助金、どっちを見ればいいですか?
池田診断士(中小企業診断士)まず大前提からお伝えしますね。この2つは「似た補助金の二択」ではなく、対象にしているものがそもそも別なんです。IT導入補助金は登録されたITツール(ソフトウェア・システム)の導入が対象。ものづくり補助金は設備投資や試作品・新サービスの開発が対象です。
田中さん(創業準備中)あ、そう言われると全然違いますね。じゃあ「どっちがお得か」で選ぶものじゃない?
池田診断士(中小企業診断士)そうなんです。「お得な方」という発想自体が入り口を間違えています。田中さんの場合で言うと、会計ソフトの導入はIT導入補助金の土俵、試作用の機械はものづくり補助金の土俵です。最初から答えが分かれているんですよ。

対象になるものの具体的な違いは

田中さん(創業準備中)もう少し具体的に知りたいです。IT導入補助金って、何でも「IT」って名前がつけば対象になるんですか?
池田診断士(中小企業診断士)いいえ、そこが誤解されやすいところです。IT導入補助金は事務局に事前登録されたITツール(ソフトウェア)とその導入を行うIT導入支援事業者の組み合わせでしか使えません。自分で好きなソフトを選んで終わり、ではなく、登録されたツール一覧の中から選ぶ仕組みなんです。会計・受発注・予約管理・ECカート・セキュリティ対策など、業務効率化系のソフトが中心です。
田中さん(創業準備中)なるほど、カタログから選ぶようなイメージですね。ものづくり補助金の方は?
池田診断士(中小企業診断士)ものづくり補助金は「新しい製品・サービスの開発」や「生産プロセスの改善」のための設備投資・試作開発・システム構築が対象です。工作機械の導入、新サービスのための専用システム開発、試作ライン構築などですね。汎用パソコンの購入や、日常業務のための一般的なソフト導入は原則対象になりません。逆にIT導入補助金では、大型の生産設備は対象になりません。ここは明確に線が引かれています。

規模感やもらえる金額はどれくらい違う

田中さん(創業準備中)金額感でいうと、どっちが「大きい買い物」向けなんですか?
池田診断士(中小企業診断士)傾向として申し上げると、IT導入補助金は数十万円〜百万円台の比較的小さな投資を想定した制度、ものづくり補助金は数百万円〜規模の大きな投資を想定した制度、という位置づけで語られることが多いです。ただし、具体的な上限額・補助率は公募回ごとに変わりますので、ここで数字を断定はしません。仮に「上限100万円・補助率1/2」の回だとしたら自己負担は50万円、という計算の仕方だけ覚えておいてください。
田中さん(創業準備中)えっ、回によって変わるんですか。じゃあ去年の情報をそのまま信じちゃダメですね。
池田診断士(中小企業診断士)その通りです。SNSやブログで見かける「上限〇〇万円」はその時点の公募回の話であることが多く、次の回では変わっている可能性があります。必ず申請時点の公募要領で確認してください。締切カレンダーで現在募集中の回を確認するのが確実です。

事務負担にも差はありますか

田中さん(創業準備中)手続きの大変さも違うんですか?正直、書類仕事が苦手で……。
池田診断士(中小企業診断士)これはかなり差があります。IT導入補助金は、IT導入支援事業者が申請フローの多くをサポートしてくれる仕組みになっていて、事業者側の負担は比較的軽めです。ツールを選んで、必要事項を入力して、というイメージに近いです。
田中さん(創業準備中)楽そう……。ものづくり補助金は違うんですか?
池田診断士(中小企業診断士)ものづくり補助金は事業計画書を自分たちの言葉で作り込む必要があります。「どんな課題があって、どう解決して、どう利益に結びつくか」をストーリーとして書き、審査員に納得してもらう。ページ数もそれなりにあり、正直、片手間で仕上げられるものではありません。「事務負担が軽い方から選ぶ」のも一つの判断軸にはなりますが、それだけで選ぶと必要な投資ができなくなるので注意してください。

両方同時に申請してもいいんですか

田中さん(創業準備中)じゃあ、会計ソフトも機械も両方欲しいので、両方同時に申請しちゃえばいいですか?
池田診断士(中小企業診断士)「両方の制度を使うこと自体」はできます。ただし、同一の経費を両方の補助金に重複して使うことはできません。会計ソフト代をIT導入補助金で申請しながら、同じ会計ソフト代をものづくり補助金でも申請する、というのはNGです。それぞれ対象にしている経費が別なので、実務上は「ソフトはIT導入、機械はものづくり」と自然に分かれることがほとんどです。
田中さん(創業準備中)二重取りしようとする人、実際にいるんですか?
池田診断士(中小企業診断士)経費の切り分けが曖昧なまま両方に出してしまい、事務局から指摘を受けるケースはあります。悪気がなくても、経費の内訳をきちんと分けて説明できないと審査で不利になります。同時に申請するなら、経費の対象と金額を1円単位で分けて整理しておくことが必須です。この整理があいまいだと、資金繰りにも響きます。関連して入金のタイミングの記事も参考にしてください。

結局、どっちを選べばいいんですか

田中さん(創業準備中)頭では分かってきたんですが、実際に自分の会社で判断するとき、何を基準にすればいいですか?
池田診断士(中小企業診断士)一番シンプルな判断軸をお伝えします。「これから買おうとしているものが何か」で決まります。それ以外の理由、たとえば「みんなIT導入補助金を使っているから」「ものづくり補助金の方が有名だから」といった理由で選ぶのは本末転倒です。まず購入予定のリストを作って、それぞれが「ソフト・システム導入」なのか「設備投資・開発」なのかを仕分けてみてください。
田中さん(創業準備中)仕分けてみて、両方混ざっていたら?
池田診断士(中小企業診断士)混ざっているなら、両方の制度を別々の経費で検討することになります。ただし両方同時に申請書を仕上げるのはかなりの負荷なので、優先順位をつけて、まずどちらか一方から着手するご相談もよくお受けします。迷ったら早めに整理した方がいいので、無料相談でリストを一緒に仕分けすることもできます。

判断の整理表

田中さん(創業準備中)最後に、この対話の内容を一覧にしてもらえますか?
池田診断士(中小企業診断士)チェックリスト形式でまとめますね。
項目 IT導入補助金 ものづくり補助金
主な対象 登録済みITツール(ソフト・システム)の導入 設備投資・試作開発・新サービス構築
想定する投資規模 比較的小さめ(具体額は公募回による) 比較的大きめ(具体額は公募回による)
申請の事務負担 IT導入支援事業者の支援があり軽め 事業計画書を自分で作り込む必要があり重め
選び方の軸 「業務効率化のためのツールを入れたいか」 「設備や新製品・新サービスに投資するか」
同一経費の重複申請 不可(経費ごとに切り分けが必要) 不可(経費ごとに切り分けが必要)
田中さん(創業準備中)これで自分の会社がどっちに当てはまるか、整理できそうです。ありがとうございました!
池田診断士(中小企業診断士)迷ったときほど、「制度名」からではなく「買うもの」から考えてください。それが一番の近道です。制度が決まらない段階でも、検索で候補を洗い出すところから始めるのもおすすめです。

※ 本記事の制度情報は一般的な解説です。補助対象経費・補助率・上限額・要件は公募回ごとに変わります。申請の際は必ず最新の公募要領(原本)をご確認ください。税務・法務に関わる判断は税理士・行政書士など専門家にご確認ください。

※ 聞き手(田中さん=創業準備中・佐藤さん=開業1年目・鈴木社長=経営歴20年)は、読者のみなさまの疑問を代弁する架空のキャラクターです。回答はすべて運営者・池田哲郎(中小企業診断士)本人によるものです。

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この記事を書いた人

池田哲郎(中小企業診断士・池田計画合同会社)。山梨県を拠点に、補助金申請支援・事業計画づくりを本業とする現役の実務家。プロフィール →

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