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制度の選び方

公募中の補助金3,700件超から「自社の5本」に絞る実務手順

「検索したら何百件も出てきて閉じてしまった」——公募中3,700件超(2026年7月時点の当サイト掲載数)から、自社に合う候補だけを機械的に残す5段階のフィルタと検索の使い方を解説します。

補助金を自分で検索し始めると、まず件数の多さに圧倒されます。今回は、創業準備中の田中さんとの対話で、「全部読む」のではなく「機械的に減らす」絞り込みの手順をお話しします。結論から言うと、大事なのは検索の腕前ではなく、フィルタを通す順番です。

検索したら何百件も出てきて、心が折れませんか

田中さん(創業準備中)池田さん、うちの会社に合う補助金を探そうと思って検索してみたんですけど、何百件も出てきて、途中で見るのをやめてしまいました。
池田診断士(中小企業診断士)それ、よく聞く反応です。当サイトだけでも、公募中の制度は3,700件を超えています(総掲載6,799件、2026年7月時点の当サイト掲載数)。国の制度に加えて都道府県・市区町村の制度まで含めればこの件数になりますから、上から順番に全部読もうとすると、誰でも心が折れます。
田中さん(創業準備中)じゃあ、どうやって絞ればいいんですか?勘で「良さそう」なものを選ぶしかない?
池田診断士(中小企業診断士)勘ではなく、機械的にふるいにかける方法があります。5段階のフィルタを順番にかけていくと、たいてい候補は5本前後まで減ります。多いか少ないかで選ぶのではなく、条件に合わないものから機械的に落としていく作業です。

フィルタ①②: まず「地域」と「目的・分類」で母数を落とすには

田中さん(創業準備中)最初に何を見ればいいんですか?
池田診断士(中小企業診断士)最初の2段は、当てはまらないものを問答無用で除外する段階です。1段目は地域。検索ページで都道府県を選ぶと、その県内の市区町村を選ぶ欄が続けて出てきます。自社の所在地・事業実施地に関係のない自治体の制度は、この時点ですべて消えます。
田中さん(創業準備中)都道府県だけじゃなくて、市区町村まで絞れるんですね。
池田診断士(中小企業診断士)はい。国の制度は全国どこでも対象になりますが、都道府県・市区町村の制度は所在地が合わないと最初から対象外です。ここを飛ばして読み進めると、後になって「うちのエリアは対象外でした」と気づく無駄が発生します。2段目は目的・分類です。当サイトは設備投資、販路開拓、省力化・省人化、事業承継など31の分類でチェックボックス検索ができます。たとえば設備投資であれば設備投資の分類から候補だけを抜き出せます。
田中さん(創業準備中)分類で絞ると、自分の業種と関係ない制度が最初から出てこなくなるってことですね。
池田診断士(中小企業診断士)そのとおりです。地域と分類の2段を通すだけで、母数はかなり減ります。ここまではキーワードのセンスがなくてもできる、機械的な作業です。

フィルタ③: 「公募状況と締切」でどう絞る?

田中さん(創業準備中)分類まで絞ったら、次は何を見ますか?
池田診断士(中小企業診断士)3段目は公募状況と締切です。締切一覧や検索の公募状況フィルタで、すでに受付を終えた制度、公募がまだ始まっていない制度を仕分けます。ここで1つ、実務で誤解が多い注意点があります。
田中さん(創業準備中)なんですか?
池田診断士(中小企業診断士)「補助上限額が大きい順」に並べて上から検討するのは、おすすめしません。上限額が大きい制度ほど競争率が高く、交付決定までの期間も長くなりがちです。優先順位のつけ方は別の記事に詳しく書きましたが、締切と実行スケジュールが自社の計画に合うかどうかを、金額より先に見てください。
田中さん(創業準備中)「大きいから狙う」じゃなくて、「間に合うか」を先に見るんですね。
池田診断士(中小企業診断士)そうです。締切まで日数が足りない制度、逆にまだ公募要領すら出ていない制度は、この段階で「今回は対象外」「様子見」に振り分けます。

フィルタ④: 自己資金で振り落とすとは?

田中さん(創業準備中)締切が合う制度が残ったら、もう申請していい感じですか?
池田診断士(中小企業診断士)まだです。4段目は自己資金です。補助金のほとんどは精算払い、つまり後払いです。買ってから、事業を実施してから、報告してから振り込まれます。この流れは入金のタイミングの記事にまとめましたが、ここで実務でよく起きる判断ミスをお話しします。
田中さん(創業準備中)教えてください。
池田診断士(中小企業診断士)「今すぐお金が必要な状況」に補助金を当てはめようとするケースです。資金繰りが厳しく、来月には支払いが発生するというタイミングでは、補助金は構造的に合いません。申請から採択、事業実施、実績報告を経て入金されるまで、短くても数か月はかかるからです。すぐに資金が必要なら融資、時間の余裕があるなら補助金、という切り分けをまず先にしてください。自己資金や立替のめどが立たない候補は、ここで一度手放して構いません。
田中さん(創業準備中)「時間はあるけどお金がない」場合と「お金は今すぐ必要」な場合で、全然違う話になるんですね。
池田診断士(中小企業診断士)まさにそこです。この判断を後回しにすると、採択されたのに立替資金が用意できず、事業を進められないという事態になりかねません。

フィルタ⑤: 「実行可能性」の最終ふるいとは?

田中さん(創業準備中)ここまでで、かなり数が減った気がします。最後は何を見ますか?
池田診断士(中小企業診断士)5段目は実行可能性です。要件を字面では満たしていても、審査で見劣りするケースがあります。よくあるのが、今の主力事業と関連性が薄い名目で申請してしまうパターンです。審査は「この会社がこの事業をやるのは自然か」という目線でも見られます。既存事業とのつながりが弱い名目より、今の事業の延長として説明できる名目の方が、同じ要件でも通りやすくなります。
田中さん(創業準備中)「制度に自社を当てはめる」んじゃなくて、「自社の実態に合う制度か」を見るってことですね。
池田診断士(中小企業診断士)その理解で合っています。ここまでの①〜⑤を通すと、たいてい残るのは5本前後です。全部にじっくり時間をかけるのではなく、①〜③で機械的に数を減らし、④⑤で「自社が現実的に取り組めるか」を見極める、という力の配分が実務的です。

5本残ったら、次にすることは?

田中さん(創業準備中)5本まで絞れたら、次は何をすればいいんですか?
池田診断士(中小企業診断士)ここでようやく、公募要領の原本を読む段階に入ります。60ページを頭から読む必要はなく、読む順番があります。詳しくは公募要領の読み方の記事に整理しました。逆に言うと、公募要領を1本ずつ丁寧に読むのはこの5本まで絞ってからで十分です。絞り込む前の何百件全部を読み込むのは、時間の使い方として非効率です。
田中さん(創業準備中)自分でここまでやるのが大変そうなときは、どうすればいいですか?
池田診断士(中小企業診断士)絞り込みの土台となる情報整理を代行するサービスもあります。当サイトでは、事業内容や実施したい投資の内容を伺って、公募中・公募予定の制度から候補を整理する48時間提案書のサービスを用意しています。自分で①〜⑤を試したうえで判断に迷う場合は、こちらからご相談ください。

5段階フィルタの早見表

段階 見る条件 落とすもの
① 地域 都道府県・市区町村が事業所在地と合うか 対象エリア外の自治体制度
② 目的・分類 31分類・業種で自社のやりたいことと合うか 分類が明らかに異なる制度
③ 公募状況・締切 締切と実行スケジュールが間に合うか 受付終了・締切が近すぎる制度
④ 自己資金 後払いの立替資金・つなぎ資金のめどが立つか 今すぐ資金が必要な状況に合わない制度
⑤ 実行可能性 既存事業との関連性・要件との適合度 名目上は当てはまるが実態と乖離した制度
田中さん(創業準備中)この順番なら、次に検索するときは迷わずできそうです。
池田診断士(中小企業診断士)まずは①②で機械的に減らし、③で時間軸を合わせ、④⑤で「本当に取り組めるか」を絞る。この順番を覚えておいてください。

※ 本記事はフィルタの考え方を一般化して解説したものです。制度ごとの要件・対象経費・補助率・締切は必ず各制度ページと最新の公募要領(原本)でご確認ください。

※ 聞き手(田中さん=創業準備中・佐藤さん=開業1年目・鈴木社長=経営歴20年)は、読者のみなさまの疑問を代弁する架空のキャラクターです。回答はすべて運営者・池田哲郎(中小企業診断士)本人によるものです。

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この記事を書いた人

池田哲郎(中小企業診断士・池田計画合同会社)。山梨県を拠点に、補助金申請支援・事業計画づくりを本業とする現役の実務家。プロフィール →

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