通る補助金ラボ
← 実務コラム一覧
対話で学ぶ

補助金と助成金、給付金は何が違う?審査の有無と財源で見分ける

補助金は競争採択、助成金は要件を満たせば原則支給、給付金は緊急支援——3つの違いを審査・財源・後払いの観点から実務目線で整理します。

「補助金」「助成金」「給付金」——ニュースや役所の案内でよく見る3つの言葉ですが、違いを正確に説明できる方は意外と少ないです。今回は創業準備中の田中さんとの対話形式で、言葉の違いが実務にどう影響するかを整理します。

補助金と助成金って結局何が違うんですか

田中さん(創業準備中)池田さん、素朴な疑問なんですが、「補助金」と「助成金」って同じものだと思ってました。違うんですか?
池田診断士(中小企業診断士)よく聞かれます。似ているようで、実務上は審査の性質がまったく違います。ざっくり言うと、補助金は「競争」、助成金は「要件を満たせば原則もらえるもの」です。
田中さん(創業準備中)競争、ですか。じゃあ補助金は落ちることがあるってことですね。
池田診断士(中小企業診断士)そうなんです。補助金は予算の枠が決まっていて、応募が集まれば審査で優劣がつけられます。事業計画の中身、実現性、地域経済への貢献度などが見られて、良い計画を出しても不採択になることがあるんです。一方の助成金は、雇用や労働関連の要件(たとえば従業員を採用した、休業手当を支払ったなど)を満たして書類がそろっていれば、原則として支給される設計のものが多いです。

給付金はまた別物なんですか

田中さん(創業準備中)じゃあ「給付金」はどっちに近いんですか。コロナのときによく聞きました。
池田診断士(中小企業診断士)給付金はさらに別枠で考えてください。多くは緊急的・一時的な支援策として、災害や急激な経済情勢の変化があったときに、要件を満たす事業者や個人に広く配られるものです。持続化給付金のような制度がわかりやすい例ですね。恒常的な制度ではなく、その時々の政策判断で設けられることが多いという特徴があります。
田中さん(創業準備中)なるほど、緊急事態用なんですね。じゃあ普段の経営で使う機会は少ない?
池田診断士(中小企業診断士)その通りです。日常的に事業者が使う機会が多いのは、圧倒的に補助金と助成金です。給付金は「そういうものがある」と知っておく程度で十分です。

財源が違うと何が変わるんですか

田中さん(創業準備中)財源が違うって聞いたことがあるんですが、それも関係ありますか?
池田診断士(中小企業診断士)関係します。ざっくりした傾向として、補助金は経済産業省・中小企業庁系のものが多く、助成金は厚生労働省系のものが多いです。経産省系は設備投資や販路開拓、新事業への挑戦を後押しする性格が強く、だからこそ「良い計画かどうか」を審査する必要がある。厚労省系は雇用の維持・拡大や労働環境の改善が目的なので、「要件を満たしているか」の確認が中心になります。
田中さん(創業準備中)目的が違うから、審査のやり方も自然と変わるってことですね。
池田診断士(中小企業診断士)そういうことです。ただし自治体独自の補助金・助成金もあって、こちらは名称と中身が必ずしも一致しないこともあります。「〇〇助成金」という名前でも審査があったりするので、名前だけで判断せず、公募要領や交付要綱の中身を確認するのが確実です。

審査があるかないか、どう見分ければいいですか

田中さん(創業準備中)申請する前に、審査があるかないか見分ける方法ってあるんですか?
池田診断士(中小企業診断士)一番確実なのは、募集要領に「審査」「選定」「採点」という言葉があるかを見ることです。あれば競争型、つまり補助金タイプだと考えてください。逆に「要件を満たす方全員」「予算の範囲内で先着順」といった書き方であれば、助成金タイプに近い運用です。ただし予算上限に達すると先着順でも締め切られることがあるので、要件を満たしていても早めに動くに越したことはないんです。
田中さん(創業準備中)「満たせばもらえる」と思って後回しにすると危ないんですね。
池田診断士(中小企業診断士)まさにそこです。助成金でも予算の総枠自体は決まっていますから、「要件を満たしているから安心」で放置すると、申請の順番によっては受け付けてもらえないこともあります。

共通しているところはあるんですか

田中さん(創業準備中)逆に、補助金も助成金も共通している部分ってありますか?
池田診断士(中小企業診断士)大きな共通点は後払い(精算払い)が原則ということです。先に自分でお金を払って、事業を実施して、報告書を出して、審査や確認を経てから入金されます。ここは補助金でも助成金でも変わりません。「もらえるお金」ではなく「あとから一部戻ってくるお金」という感覚を持っておくことが大事です。
田中さん(創業準備中)それ、この間の記事でも読みました。先に発注しちゃダメなやつですよね。
池田診断士(中小企業診断士)よく覚えていましたね。補助金の場合は特に、交付決定の前に発注・契約をすると対象外になるケースが多いです。詳しくはフライング着工の記事にまとめています。助成金でも、対象となる取り組み(例えば労働者の採用や制度導入)を行う前に計画届を出す必要がある制度があるので、順番を間違えないようにしてください。

私はどっちを狙えばいいんですか

田中さん(創業準備中)私は今、創業準備中なんですが、補助金と助成金、どっちを見ればいいですか?
池田診断士(中小企業診断士)創業準備の段階では、設備投資や販路開拓のための補助金が中心になります。小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金などですね。一方で、開業後に従業員を採用したり、労働環境を整えたりする段階になると、助成金が候補に入ってきます。雇用に関する助成金は経営者ご本人ではなく、労働保険の適用事業所であることが前提になるものが多いので、開業して人を雇ってからが本番です。
田中さん(創業準備中)じゃあフェーズによって狙うものが変わるんですね。
池田診断士(中小企業診断士)その通りです。「今の自分の状況で、審査を勝ち抜く準備ができるか」「要件を満たしていて確実に取れそうか」で、優先順位を考えるといいです。複数の候補がある場合の優先順位のつけ方は別の記事でも詳しく書いていますので、あわせてご覧ください。

見分け方をチェックリストにするとどうなりますか

田中さん(創業準備中)頭の中がだいぶ整理されてきました。最後にチェックリストでまとめてもらえますか。
池田診断士(中小企業診断士)実務でよく使う見分け方を表にしました。
項目 補助金 助成金 給付金
審査 あり(競争採択、不採択もある) 原則なし(要件充足で支給) 原則なし(要件充足で支給)
主な財源系統 経済産業省・中小企業庁系が多い 厚生労働省系が多い 政策判断による時限的な財源
目的 設備投資・販路開拓・新事業への挑戦 雇用維持・拡大、労働環境改善 緊急的・一時的な経営支援
支給のタイミング 後払い(精算払い)が原則 後払い(精算払い)が原則 制度により異なる
実施前の注意 交付決定前の発注・契約はNGが原則 対象の取り組み前に計画届が必要な制度あり 個別の要領を要確認
田中さん(創業準備中)こう並べると、審査の有無が一番大きな分かれ目なんですね。
池田診断士(中小企業診断士)はい。あとは名前に惑わされず、公募要領や交付要綱を見て「審査」の文字があるかどうかを確認する癖をつけてください。それだけで、狙う制度の性質を見誤ることはかなり減ります。
田中さん(創業準備中)ありがとうございます。まずは自分の状況で使えそうな補助金を探してみます。
池田診断士(中小企業診断士)それがいいと思います。検索ページで制度を探せますし、締切を確認したい場合は締切カレンダーもあります。判断に迷ったら無料相談もご利用ください。

※ 本記事は補助金・助成金・給付金の一般的な傾向を整理したものです。個別制度の審査有無・財源・要件・税務上の取り扱いは制度ごと、公募回ごとに異なります。申請の際は必ず最新の公募要領・交付要綱をご確認いただき、税務に関わる点は税理士に、労務に関わる助成金の要件は社会保険労務士にご確認ください。

※ 聞き手(田中さん=創業準備中・佐藤さん=開業1年目・鈴木社長=経営歴20年)は、読者のみなさまの疑問を代弁する架空のキャラクターです。回答はすべて運営者・池田哲郎(中小企業診断士)本人によるものです。

無料|48時間以内|送るのは提案書1通だけ

御社が使える補助金、提案書にまとめます

作るのは中小企業診断士・池田哲郎本人。お送りするのは提案書1通だけで、その後の営業連絡はしません

補助金提案書を受け取る →

この記事を書いた人

池田哲郎(中小企業診断士・池田計画合同会社)。山梨県を拠点に、補助金申請支援・事業計画づくりを本業とする現役の実務家。プロフィール →

読んでも自社への当てはめに迷ったら

無料相談へ