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補助金っていくらもらえる?「上限100万円・補助率2/3」の読み方

「上限100万円」は満額もらえる金額ではありません。補助金は対象経費×補助率で決まり、上限額はその天井にすぎません。自己負担の計算例つきで正しい読み方を解説します。

「補助金っていくらもらえるんですか?」——ご相談で必ず聞かれる質問です。実は「上限100万円」という数字だけを見て、100万円もらえると思い込んでいる方がとても多いんです。今回は創業準備中の田中さんとの対話で、補助率と上限額の正しい読み方、そして自己負担がいくらになるかを具体的な数字で確認していきます。

補助金は「上限〇〇万円」なら満額もらえるの?

田中さん(創業準備中)池田さん、気になっている補助金が「補助上限100万円」って書いてあったんです。これって100万円もらえるってことですよね?
池田診断士(中小企業診断士)そこ、一番多い誤解なんです。上限額は「これ以上は出ません」という天井の金額で、必ずもらえる金額ではありません。 実際にもらえる金額は、対象になる経費に補助率をかけて計算します。上限額はあくまでその計算結果に蓋をする役目なんです。
田中さん(創業準備中)えっ、じゃあ計算しないと分からないってことですか?
池田診断士(中小企業診断士)その通りです。「補助金額 = 対象経費 × 補助率」を計算して、その金額が上限額を超えていたら上限額に切り下げる、という順番なんです。ここを飛ばして「上限=もらえる額」だと思ったまま資金計画を立てると、後で数十万円単位でずれます。

補助率2/3ってどういう意味?

田中さん(創業準備中)「補助率2/3」もよく見ます。これは何を意味しているんですか?
池田診断士(中小企業診断士)使ったお金のうち、何割を補助金でカバーしてもらえるかの割合です。仮に補助率2/3の制度で、対象経費が90万円だとすると、90万円×2/3=60万円が補助金額になります。残りの30万円は自分で負担する、という意味です。
田中さん(創業準備中)なるほど。じゃあ補助率が高いほど自己負担は減るんですね。
池田診断士(中小企業診断士)はい、単純にそうです。ただし補助率は制度によって、また同じ制度でも公募回や申請する枠によって変わります。「この制度は補助率2/3」と丸暗記せず、申請するときの公募要領で毎回確認してください。賃上げ要件を満たすかどうかで補助率が変わる制度もあります。その話は賃金台帳と補助率の記事で詳しく書きました。

「対象経費」って何?なんでも対象になるわけじゃないの?

田中さん(創業準備中)「対象経費」って言葉、さっきから出てますけど、使ったお金は全部対象になるんじゃないんですか?
池田診断士(中小企業診断士)なりません。ここも誤解が多いところです。補助金には「この費目に使ったお金だけ対象にします」という対象経費のリストが公募要領に決まっていて、リストにない支出は補助率をかける土台にすら乗りません。たとえば機械装置費や広報費は対象でも、パソコン本体や車両、汎用性の高い備品は対象外になりやすい傾向があります。
田中さん(創業準備中)え、パソコンって結構どの制度でも買いたくなりそうですけど……。
池田診断士(中小企業診断士)そうなんです、だからこそ落とし穴になりやすい。「買いたいもの」と「対象経費になるもの」は別物だと考えてください。見積もりを取る前に、対象経費の範囲を公募要領で確認する、または専門家に見てもらう。ここを外すと、せっかく100万円分買い物をしても補助対象は50万円分だけ、ということが起きます。

自己負担はいくらになる?計算例で教えて

田中さん(創業準備中)具体的な数字で計算してみたいです。
池田診断士(中小企業診断士)いいですよ。仮に「上限100万円・補助率2/3」の制度で考えてみましょう。
ケース 対象経費 補助金額(対象経費×2/3) 上限額との比較 実際の補助金額 自己負担額
A 90万円 60万円 上限未満 60万円 30万円
B 150万円 100万円 上限と同額 100万円 50万円
C 300万円 200万円 上限を超過 100万円(上限で頭打ち) 200万円
田中さん(創業準備中)Cのケース、対象経費が増えても補助金額は上限で止まっちゃうんですね……。自己負担がどんどん増える。
池田診断士(中小企業診断士)そこが重要なポイントです。上限額を超えて計画を大きくしても、増えた分はすべて自己負担になります。「せっかくだから設備をグレードアップしよう」と対象経費を積み増す前に、上限額との位置関係を確認してください。

消費税分も補助してもらえるの?

田中さん(創業準備中)見積書には消費税も乗ってきますよね。それも補助対象になるんですか?
池田診断士(中小企業診断士)ここも要注意です。多くの補助金で、消費税相当額は補助対象経費に含めない扱いになっています。つまり税抜き価格に補助率をかけるのが基本で、消費税分は自己負担側に乗ってくることが多いんです。ただし制度によって扱いが異なりますし、消費税の還付を受けられる事業者かどうかでも実務上の考え方が変わってきますので、税務的な判断は税理士に確認してください。 私からは「税抜きで見る制度が多い」という傾向だけお伝えします。

「下限額」があるって本当?少額の計画は申請できない?

田中さん(創業準備中)上限があるのは分かりましたけど、下限もあるんですか?
池田診断士(中小企業診断士)制度によってはあります。「対象経費が〇〇万円以上の計画でないと申請できません」という下限額を設けている補助金もあるんです。小規模な買い物だけでは申請自体ができない、ということですね。
田中さん(創業準備中)えっ、それは知らなかった。じゃあ「安く済ませよう」と思って経費を絞りすぎるのも良くないんですね。
池田診断士(中小企業診断士)逆に、下限に届かせるために不要なものまで計画に詰め込むのもNGです。審査する側は「経費の妥当性」も見ています。 事業に本当に必要なものを積み上げた結果が下限を超えているか、を先に確認する。金額ありきで経費を組み立てる順番は避けてください。

結局、いくらもらえるかはいつ分かるの?

田中さん(創業準備中)ここまでの話だと、申請する時点では「だいたいこのくらい」しか分からないってことですか?
池田診断士(中小企業診断士)そうです。申請時点の金額はあくまで見積もり段階の計算です。採択されて、実際に発注・支払いをして、実績報告をして、検査を経て初めて金額が確定します。見積もりより実際の支払いが安く済めば補助金額も下がりますし、対象外の経費が実績報告で見つかれば減額されることもあります。「申請時の計算=確定額」ではない、というのも覚えておいてください。
田中さん(創業準備中)最後まで気が抜けないんですね……。
池田診断士(中小企業診断士)その通りです。それと、交付決定より前に発注してしまうと、そもそも補助対象から外れてしまいます。この順番を間違える方は本当に多いので、フライング発注のNGも合わせて読んでおいてください。資金繰りの面では、補助金が入るのは実績報告のあとの後払いなので、入金までの資金繰りの記事も参考になります。

申請前に確認しておきたいこと

田中さん(創業準備中)今日教えてもらったことを、申請前のチェックリストにまとめてもらえますか?
池田診断士(中小企業診断士)はい、この順番で確認してください。
  • 上限額と補助率を両方確認する(上限額だけ見ない)
  • 対象経費のリストを公募要領で確認する(買いたいものが対象か先に確認)
  • 「対象経費×補助率」で仮の補助金額を自分で計算してみる
  • 消費税分の扱いを確認する(対象外が多い前提で資金計画を組む)
  • 下限額の有無を確認する(制度による)
  • 上記はすべて公募回ごとに変わる前提で、最新の公募要領原本で確認する
田中さん(創業準備中)「まず自分で計算してみる」、今日一番の収穫です。ありがとうございました!
池田診断士(中小企業診断士)その一手間で、資金計画の精度がかなり変わります。制度ごとの具体的な数字は検索締切カレンダーで確認できますし、計算に自信が持てないときは無料相談も使ってください。

※ 本記事の補助率・上限額・下限額の例は説明のための仮の数字です。実際の金額・補助率・対象経費・下限額は制度および公募回ごとに異なります。申請の際は必ず最新の公募要領(原本)をご確認のうえ、税務的な判断が必要な場合は税理士にご相談ください。

※ 聞き手(田中さん=創業準備中・佐藤さん=開業1年目・鈴木社長=経営歴20年)は、読者のみなさまの疑問を代弁する架空のキャラクターです。回答はすべて運営者・池田哲郎(中小企業診断士)本人によるものです。

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この記事を書いた人

池田哲郎(中小企業診断士・池田計画合同会社)。山梨県を拠点に、補助金申請支援・事業計画づくりを本業とする現役の実務家。プロフィール →

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