補助率は「計画の出来」で決まらないことがある
補助金の相談を受けたとき、私が最初に確認するのは事業計画のアイデアではありません。賃金台帳です。
ものづくり補助金や事業再構築系の補助金では、「大幅な賃上げ」等の要件を満たすと補助率が1/2から2/3に上がる制度設計が珍しくありません。逆に言えば、直近の賃金の推移や給与支給総額の実績次第で、同じ設備・同じ計画でも、もらえる金額が数百万円変わるということです。
現場でよくある行き違い
実務でよく起きるのは、次のような流れです。
- 経営者は「2/3もらえる」という前提で投資額を決めている
- 申請書を書き始めた段階で、賃上げ要件を満たしていない(または将来の賃上げ約束が現実的でない)ことが判明する
- 補助率1/2で資金計画を組み直すことになり、投資自体の意思決定が揺らぐ
申請書を書く労力の問題ではなく、投資判断そのものが後戻りするのが痛いところです。
申請前チェックの順番
私がおすすめする順番は次のとおりです。
- 賃金台帳・給与支給総額の推移を確認する(直近1〜3年分)
- 賃上げ系の加点・補助率上乗せ要件と突き合わせる
- 将来の賃上げ約束が、利益計画から見て履行可能かを検証する(未達の場合は返還を求められる制度もあります)
- そのうえで補助率を確定し、投資額と自己資金を決める
賃上げ要件は「書けば加点になるボーナス」ではなく、数年間の人件費コミットメントです。ここを最初に固めると、後の計画づくりが一気に安定します。
※ 本記事は一般的な情報提供であり、個別の制度の要件は公募回ごとに変わります。申請の際は必ず最新の公募要領(原本)をご確認ください。